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行為的直観としてMBA

イノベーションの授業の中で私が必ず取り入れるのが、即興(インプロビゼーション)です。即興的に物語を紡ぎ出していくときに、人のクリエイティビティが最大限引き出されるためです。準備したものを一度手放し、自分のいる〈場〉から生み出していくのです。

そのときにかならず必要となるのが直観です。分析的に作っていこうとすると、判断が入るため、一瞬遅れが生じます。その遅れが、即興を停滞させてしまいます。分析的にものごとに関わろうとすると、この判断の遅れにより、現在よりも常に遅れ続ける。構造的なズレが生じてしまいます。

実際のビジネスの現場でも、いま・ここ、で判断が必要な場面があります。商談をしていても、ここぞというときに決め台詞がでなければ、商機を逃してしまうでしょう。直観を磨くというのは、その点で非常に重要なのです。西田幾多郎は、禅の体験を通じてこうした直観の重要性に気づきました。現実というのは、直観によって実在するのです。

その西田が思索の末たどり着いたのが、「行為的直観」という概念でした。これは、単に直観として受動的に感じ取るだけでなく、実践の中で行為していくことが重要なのだ、ということです。というのも、行為によって、また直観が得られるからです。行為する身体を通じて、現実を直観的に感じ取り、関わっていく。そういう境地にたどり着いたのです。

即興というのは、かならず行為とセットになります。台本のない物語がスタートしたとき、たとえば「蝶が飛んでるね」と発言したとします。〈場〉に影響を与えるこうした行為をオファーと呼びます。このオファーという行為によって〈場〉が変化し、その変化した〈場〉から、他のプレイヤーが「お花畑が広がっている!」とリアクションして物語が広がっていく。そうした、身体による行為と〈場〉にある身体的なフィードバックループによって、物語がつむがれるのです。(しかしこうした行為には常に、勇気がいります。)

MBAもまた、抽象的・概念的な直観にとどまりません。そこには必ず、行為が伴います。徹底的な分析を行いながらも、しかし最後にはいま・ここと接続するための行為的直観に委ねる。MBAの授業が、背中を押されるような、勇気をもらう場所になっているのは、そうした実践的な行為へとつながっているからなのです。


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