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MBAケースメソッドの限界

ケースメソッドは、数多くのケースの分析・議論を通じて、学生のリーダーとしての経験値を高め、実務対応能力を養成する為のもので、知識や理論を学ぶ手法ではないことは繰り返しお話ししてきました。

このメソッドに対する学生の不満の声は:
「答えがないので、議論し終わって一体何を学んだかいつもモヤモヤ気分だ。」
「古いケースが多くて、そんなの今の時代参考にならないね。」
「結局理論が理解できていないので、不安だ。」
に代表されます。この声は至極ごもっともで、ケースメソッドの限界を代弁しています。

ケースメソッドには大きく2つの限界がある

限界1)ケースメソッドは所詮過去の企業の意思決定を分析しているだけで、未来の不確定要素に対する意思決定は教えていない。

確かにその通りです。過去のことを振り返って、正しい・間違っている、こうすべきだった、この経営者はアホだ、と論ずる議論はクラスで大いに盛り上がります。でも、仮に過去の当事者がこの討議を見ていると想定すると、その当事者から見れば議論は無責任な結果論であり、もっと言えば犬の遠吠えみたいに片腹痛いものですね。ケースメソッドでは、過去の成功要因を分析して一般化・理論化して、未来のリーダーに対するインプットとしています。ですが、過去の成功要因は全て後世から見た結果論に過ぎません。その過去で活動した当事者は初めから成算があって成功したのではなく、試行錯誤・努力・運・勘を総動員した、汗の涙の結晶です。それを、あたかも成功すべくして成功したみたいな一般化・理論化を後世はしてしまって、それをありたがって普及させているのが現実です。

このケースメソッドの限界は、
「MBAは頭でっかちで理論やベストプラクティスばっかり振り回して、現実を見ようとしない。」
というMBA否定の殺し文句に繋がっていきます。

限界2)ケースメソッドは理論を学ぶにはふさわしい方法ではない。

これも真実です。ケースメソッド教官はケースを読み解くに当たって必要な文献を指定して、学生に事前にもしくは必要に応じて読むように指示しますが、その文献や理論自体は基本的には講義しません。つまり理論は自習するもの、という前提でケースメソッドは成り立っています。筆者が担当している戦略やマーケティングの科目は、そもそも理論が難しくなく、ビジネス経験がある人であれば誰でも考えつくようものですので、このケースメソッドは有効に機能します。ですが、会計やファイナンスのように理論・計算が初心者にとって難物である場合は、「ちゃんと理論とか計算方法教えてくれよ!」といった学生の不満に繋がっていきます。

ケースメソッド総本山のハーバードビジネススクールの場合も事情は同じなのですが、彼らは割り切っています。彼ら曰く「ビジネススクールは経営者を養成する場です。会計やファイナンスの理論・計算はあなたの部下が習熟すべき仕事で、あなたの役割は、部下が提示してくれるデータやファインディングから何を導いて何を判断するかです。ですので、理論の詳細を知る必要はなく、専門家と対等に話せるレベルの知識があれば充分です。」ですから、ハーバードでのこれらの科目講義でも、数字の分析はエクセルに任せ、出た結果に対する解釈と意思決定で講義が進行されています。この分野での専門を深めたいのであれば、自分で勉強しろ。です。

ケースメソッドの限界の打開策は?

2つの限界をお話ししました。この限界を知っていることはすごく大事です。もちろん、ビジネススクール側もこの限界を解消すべく色々と努力しています。ですが、ケースメソッドで足りないところは、結局自己修養するしかありません。仕事においてはもちろんですが、MBAの学習においても自立心が必要です。


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