MBAのコアカリキュラムとは

MBAのコアカリキュラムとは何かを考える機会がありました。そもそも、MBA教育とは100年以上の歴史を有する欧米社会からの「輸入」コンセプトである以上、その輸入元の基準をクリアしないことには話になりません。そういう理由で、私は「日本版MBA」という言葉には違和感を覚えます。オリジナルの基準をクリアした上で、そこに独自の解釈に基づくアレンジを加えることはあるにせよ、いきなり初めから自己流のカリキュラムをもって日本版MBAを自称するのは、自ら視野の狭さを示しているように見えます。

ビジネススクールが掲げるミッションを実現するために、MBAプログラムは学習到達目標を設定し、その目標を実現するためのカリキュラムを構築することが求められます。ビジネススクールの認証機関では、MBA教育で追求すべき人材育成像の核となるコアコンピテンシーを13種類定義し、INSEAD、IMD、LBSなどのトップスクールですら例外なくそれらを必須科目で全て網羅することが義務付けられています。さらにはプログラム到達目標が受講生によってどの程度達成されたかを毎年測定してカリキュラムを見直すことが求められるのです。これがMBA設計の原点となります。

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栗本博行

神戸大学経営学部卒業後、大阪大学経済学研究科にて修士/博士（経済学）を取得。製品開発戦略を主な研究対象とし、規格競争分析に関する論文を多領域に亘って執筆。近年は事業継承に関する研究に取り組む（事業承継学会理事）。ビジネススクールではEMBA/MBAプログラムの立ち上げから運営まで幅広く携わる。