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実務家教員の税理士試験経験

#税理士 #税理士試験

税理士試験は、科目合格制度を採用していますので、受験しやすい国家資格ですが、何故科目合格制度を採用しているのかといいますと、1科目1科目が強烈に難しいからです。
私の見聞では、過去に5科目一括合格した受験生は、1名しかいないと聞いております。

私の受験経験


私の経験をお話ししますと、公務員時代に予算編成の仕事に就いた折に、民間企業の経理システムのことも知ろうと思って、簿記の勉強を簿記学校の夜学ではじめました。大学でも簿記の講義はありましたが、全くその重要性が理解できず、「減価償却について述べよ」という定期試験問題のおかげで、単位を取得できた記憶があります。仕訳の問題が出題されたら、単位を落していたでしょう。夜学で3級2級1級と順調に進み、こんなに簿記は簡単だったのかを知りました。1級の勉強で原価計算基準を学んだ時には、凄い精緻な仕組みだと感激した記憶があります。
夜学の簿記の先生から、貴方は税理士になるのですか?会計士になるのですか?と問われ、初めて国家資格のことを知りました。そのときの私は国家資格のことは全く意識していなかったのです。
先生から「会計士を目指すなら、公務員を辞めて受験に専念してください。税理士ならば、働きながら資格取得ができます。」と言われ、公務員を辞めることはできませんので、税理士資格を取ってみようと思ったのです。幸い簿記論と財務諸表論は日商1級合格した後1年で難なく合格しました。税理士試験は簡単な試験だと思い、翌年は税法3科目合格を目指して3科目を受験をしました。そのときのことは今でも忘れられません。12月24日クリスマスイブの日でした。下宿に帰りますと、国税庁から封筒が来ており、合格通知が遂に来たかと思い、開封してみますと、3科目共不合格でした。言葉もなく愕然とし、「クリスマスではなく、クルシミマスだな!」と、それ以来12月24日を思うようになりました。 

それから、税法科目1科目合格するのに3年以上かかり、やっと5科目合格しました。働きながら、それもトップギアで働きながらの受験でしたので、とにかく勉強をしていなくても、予備校の学費だけは払い、受験し続けたのでした。

はじめての税務調査

私は某受験予備校で法人税科目全国ランキング最上位になり、「この分野では俺が一番できる、通達を隅から隅まで知っている」などと高慢になっていました。
ところが税理士となって、初めての税務調査で税務署員に1本背負いでやられました。いわゆる「1筆計上、重課」です。「署長に寛大な処理を上申してあげるので、納税者に反省文を書かせて欲しい」と言われ、それに従ったのです。この手法は、重課の証拠がない場合に、重加算税(本税の35%の加算となる行政罰)を課税するための証拠固めの手法で、それにまんまとやられたのです。
試験科目にない国税通則法に定めのある重加算税の課税要件すら知らずに税務調査に当たるなどととんでもない税理士でした。また、税理士会での判例研究会で「納税者の敗訴の原因は弁護士の主張立証に問題がある」などと述べ、指導者である税法学者から「判例研究とは、裁判官の判決を批判的に検討することにあるのであって、君の発表は判例研究になっていない」と指摘をされたのも思い出します。

ですから、受験予備校での通達学修、理論サブノート丸暗記学修は、国家試験合格のためには必要ですが、力量のある納税者から頼りにされる税理士の養成にはなっていないのが現実です。
今の受験生は、租税法専門の土日制の社会人大学院があるから幸せです。私の受験時代も大学院はありましたが、租税法専門の大学院は無く、かつ昼間部しかなかったので、働いている社会人には大学院の門戸は閉ざされていたのです。