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ユニ・チャーム 2011

#グローバル展開 #ブランド #リーダーシップ


アブストラクト

ユニ・チャームは生理用品、幼児用・大人用紙オムツの国内トップ企業である。今日では、不織布・吸収体の加工・成形技術のコアテクノロジーを強みとした日用品を提供するモノづくり企業として広く知られている。しかし、当企業は多角化経営を進めてきた歴史がある。1961年建材の製造、販売を柱とする大成化工(株)としてA氏(現ユニ・チャーム(株)取締役ファウンダー)が起業した。その2年後の1968年、現在の核となる生理用ナプキンの製造・開発事業に着手したのである。建材事業も生理用品事業も日本の高度成長期とともに育ってきた。創業から20年後の1981年、幼児用紙おむつの販売へと至り、現在のパーソナルケア事業の本格的な幕開けとなる。日本がバブル絶頂期を迎える頃、ユニ・チャームは、様々な事業に参入し、多角化経営を加速させる。今日の主力事業パーソナルケアに続く、ペットケア事業も1986年、ちょうどその頃の参入であった。ユニ・チャームはペットケア市場の後発組であった。当時すでにペットフード市場は飽和状態で、競合他社がマーケットシェア拡大をめざし、競争激化していた。今日の有力プレイヤーであるマース(Mars.Inc/米国)、ネスレ(Nestle/スイス)といった外資系企業、味の素ゼネラルフーヅ(AGF)等外資と日本の合弁企業、そして日清ペットフード(日清飼料グループ)等の国内企業も凌ぎを削っていた。特に外資系のグローバル企業は積極的なM&A戦略、巧みなマーケティング戦略やブランド戦略で日本市場での存在感を強めていた。ユニ・チャームのペットケア事業の転機は、1998年の味の素ゼネラルフーヅ(AGF)のペットフード事業の譲渡であった。AGFのペットフード事業への参入は、AGF設立時の1971年に始まり、ペットフードの世界的有名ブランド「ゲインズ」の国産化を開始した。AGFはゲインズブランドの開発・製造・販売を手がけ、ユニ・チャームがペットケア市場に参入した1986年には、AGF自社工場である伊丹工場の生産能力を拡張し、特にウェットタイプのペットフードを強みとしていた。その伊丹工場をユニ・チャームはそのまま受け継ぎ、今日のペットフード製造主力工場として位置付けている。ペットフードの開発・製造の内製化の基礎を築くとともに、ユニ・チャームが持つ不織布・吸収体の加工・成型というコアテクノロジーを武器に、ペットケア事業のペットフード分野に続く、ペット用紙オムツ、トイレシートの分野を展開させてきたのである。ユニ・チャームペットケア事業は、大きな変革を経て、今日の事業体制に至る。1998年子会社のユニ・タイセイ(株)へ営業譲渡され、翌年ユニ・ハートス(株)へ改称し、2002年ユニ・チャームペットケア(株)としてペットケア単独事業の体制を整えた。2004年には東証2部上場、翌年2005年には東証1部上場、そして2010年には、本体ユニ・チャームのペットケア事業として新たなスタートを切った。また、2011年5月には、米国ペットケア用品大手のハーツ(The Hartz Mountain Corporation)を買収し、グローバル展開の足がかりを固めた。本ケースでは、ユニ・チャームグループが経営の多角化を展開し、経営資源の効率化を図り、事業の選択と集中を行ってきた過程で、競合の厳しいペットケア市場において、ユニ・チャームが当事業をどのように、今日の成長へと導いてきたのかを、外部環境とともに書き記す。

詳細情報

ケースID 11-1072
登録 2011
業界 飼料・有機質肥料製造業
分析領域 総合経営
ページ数 36
言語 Japanese
ティーチングノート あり