主要国通貨、米ドル、ユーロ、円、のゼロ金利状態は今後解消されるだろうか？
もしこれが解消されないのであれば、地球上のすべての存在が経年劣化するなかで、唯一つ通貨に対してのみ金利という「経年増殖」する特性を認めてきた資本主義体制はその本質を消失することになる。

金利は、企業経営効率の根本的基準として人間社会の勤勉さを刺激し産業革命とともに高度成長を実現してきた。しかし、人間によって構成される企業組織が、そのような一時も停止することの無い資本の無機的な自己増殖能力にいつまでも対応し続けることはできないことが２１世紀になって明らかになりつつある。
企業を構成する人間が、マネジメントであれ、社員であれ疲労困憊し始めている。日本企業では、社員の深刻なメンタルヘルス悪化と国内総生産（ＧＤP）数値の長期停滞がそれを示している。グローバル社会全体でも先進社会企業の効率追求が限界にきていることは、新たな企業経営概念として持続的成長が最優先に掲げられ始めていることにも現れている。

本書は、グローバル社会が直面しつつある金利が消滅する時代の企業経営にどのような根本的パラダイムシフトが求められるのか。主な着眼点を次世代エグゼクティブ人材に提起し、ともに探求することを試みている。