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トヨタはどうやってレクサスを創ったのか

高木 晴夫

本書が伝えたい最大のメッセージは「日本発世界へ」である。日本の代表的グローバル企業としてのトヨタが、日本の価値、日本の文化、日本のよさを踏まえ、レクサスを新たに世界に向けて送り出す。この「日本発世界へ」について、レクサスの開発とマーケティングはいかに行われ、それを可能にした組織とリーダーシップはどのようであったかを記述した。情報はすべてトヨタと関係会社の方々に対し直接インタビューし調査したものである。

グローバル事業を展開する日本企業(多くは製造業)は、世界の人々に良質の製品を提供している。トヨタもこの範疇に入る。しかしその製品はモノとして、機械装置として優秀なのであるが、世界の人々はそこに日本の価値、日本の文化、日本のよさを直接見ているわけではない。一方、高級ブランドを購入する人々はそこにその国の文化やよさを見出す。トヨタは自動車という極めて汎用な製品の事業において、日本文化の真髄をグローバル・プレミアムブランド車に織り込むことに挑戦した。世界の富裕顧客が日本発の高級ブランド車レクサスを購入する。汎用自動車メーカーの全く新しい事業開発がレクサスであった。日本文化の真髄をレクサスという製品に織り込む開発とマーケティングはいかにしてなされたのか。これが「日本発世界へ」の第一の意味である。

「日本発世界へ」の第二の意味は、その開発とマーケティングの活動を可能にしたトヨタの組織とリーダーシップに見出せる。トヨタは極めて日本的な会社であるが、すでに世界のリーディングカンパニーである。トヨタのDNAの中には、世界に通じる組織の作り方、動かし方、リーダーシップの発揮の仕方が潜んでいるはずだ。レクサスの事例を研究することでトヨタの組織能力を解明する。これが本書の本質的な目的である。