金融市場や市場経済の分野において「地政学」あるいは「地政学リスク」という言葉が使われ始めたのは21世紀に入ってから、とりわけ2001年の9.11事件が大きなきっかけでした。それ以降、「国際情勢の変動、外交関係、そして国内の政治的変化は、経済のファンダメンタルズに勝るとも劣らず、ビジネス環境や金融市場に影響を与えている」(ユーラシア・グループ)という認識がビジネス界を中心に急速に広がっていきました。最近では『東洋経済』や『週刊ダイヤモンド』において「地政学特集」が相次いで組まれるなど、こうした考え方はすでに共通認識となっています。
ただし本講義では、単純に最新の国際情勢と市場経済に対するその影響を理解するだけにとどまらず、ある特定の政治情勢下において、各企業がどのような戦略のもと、いかなる意思決定を行ってきたのか、そしてその選択は正しかったのか、といった点について、主としてケース・メソッドを通じて議論していきたいと思います。これにより、地政学リスクを正しく評価し、それをビジネス戦略へと有機的に繋げていく能力を養うことを目指します。
テーマ:政治とは何か?国際政治とは何か?地政学とは何か?
ケース:「「権力」を握る準備を始めよ」、「外交と戦争のロジック」
概要 :「権力」、「利害」、「戦略」、「制度」といったキーワードを中心に、身近な話題を用いて、政治学の基本的な考え方や概念、政治的現象の基本的な分析枠組みを身に付けます。これにより、これまで意識してこなかったような政治社会の輪郭がクッキリと浮き上がって見えてくるはずです(Session 1)。そして、このような考え方・概念・枠組みを下敷きとして、各国の外交戦略がどのように設計され、どのように絡み合っているのか、そしてその結果としてどのような帰結が生じているのかを議論します(Session 2)。
テーマ:最新の地政学的トレンドを掴む ケース:「地政学の復活?」、「欧米で台頭するポピュリズムという妖怪」
概要 :DAY1に引き続き、政治学の基本的な分析枠組みを下敷きとして、最新の地政学的トレンドについて分析します。具体的には、冷戦終結から25年以上が過ぎ、近年になって顕著となりつつあるロシア、中国、イランといった修正主義国家の台頭(Session 3)、そして欧米諸国で急速に台頭しつつある「ポピュリズム」という政治現象(Session 4)について、それらの基本的なロジックについて理解を深めると共に、それが市場経済、さらには広く国際情勢全体に与える影響などを議論します。
本講義を受講することで、まずは物事を「政治的」に見る見方を養うことができる。これは日常生活においても社内政治を生き抜くためにも、そしてもちろん国際情勢や地政学リスクを読み解く上でも、きわめて重要な見方である。その上で、最新の国際情勢や地政学リスクを読み解くことで、最適なビジネス戦略を考えるための手がかりを得ることが可能となる。
教科書は指定しません
・ 「権力」を握る人の法則、ジェフリー・フェファー(村井章子訳)、日本経済新聞出版社、2014年
・影響力の武器:なぜ、人は動かされるのか[第三版]、 ロバート・B・チャルディーニ(社会行動研究会訳)、誠信書房、2014年
・ 国際政治:恐怖と希望、高坂正堯、中央公論社、2017年[初版は1966年]
・ 国際政治とは何か:地球社会における人間と秩序、中西寛、中央公論社、2003年
・ 国際秩序:18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ、細谷雄一、中央公論社、2012年
・ 現代経済学:ゲーム理論・行動経済学・制度論、瀧澤弘和、中央公論社、2018年
・ 国際紛争:理論と歴史〔原書第10版〕、ジョセフ・S・ナイ/デイヴィッド・A・ウェルチ(田中明彦・村田晃嗣訳)、有斐閣、2017年
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