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選ばれ続ける税理士とは

#税理士 #MBA #資格 #中小企業診断士

クライアントに対する感動提供業

先般、私の主宰する税理士法人で「民法・信託法・一般社団法」のセミナーを開催しました。いつもは、90人近い、個人富裕層の方が集まるのですが、半分位の集客でした。相続を全面に出していなかったことが原因でしたが、セミナー後のアンケート内容はとても好評でした。「税理士事務所でこのような内容のセミナーが開かれるとは素晴らしい!」という内容が多かったのです。
 税理士さんは、「税務の専門家」として自己限定をしがちです。「税法以外は知らなくてもよい」とまでは言いませんが、あまり勉強しません。ですから、他の税理士との差別化ができないのではないでしょうか?あるいは、クライアントの要望に十分応え切れていないのではないでしょうか?

「法改正はビジネスチャンス!」と捉える。


税理士からみたMBAとは

税法は毎年改正されます。3月末に国会を通過し、4月より施行されます。私の主宰する税理士法人では、改正税制が国会を通る前から、セミナーを行い、改正案の概要をクライアントや金融機関に、お伝えするようにしています。昔、「齋藤さんは、国会通過をする前に、成立していない内容でよくセミナーを開催できますね」と税理士さんから言われたことがあります。

確かに、その通りです。しかし、4月から施行される内容を事前告知しておくことは、企業経営上極めて有益なのです。施行前に手を打つこともできるからです。平成16年所得税改正(3月成立)で「1月に遡り土地の譲渡損の損益通算を認めない」という納税者の不利益となる遡及立法がありました。裁判でも不利益遡及立法は財産権を侵害する違憲であると争いが多発した(最高裁で納税者の訴えは退けられました)のですが、私の主宰する税理士法人では、12月中に緊急セミナーを開催し、クライアントに対して、損失の出ている個人所有の土地は年内売却すべきことを告知し、難を逃れていただきました。

私は税理士試験になかなか合格せずに42歳という遅い開業でした。バブル崩壊という大変な不景気に突入するときに開業したのです。それから失われた20年と言われる時期を経て、ようやくアベノミクスで少し景気が上向いてきたのかというのが実感です。景気のいい時期は全く経験しておりませんが、開業10年で急成長し、資産税では業界で有名な事務所に成長できました。

その秘訣は、税法以外の法律で勝負したからです。開業時に借地借家法の成立と生産緑地法の成立に遭遇したからです。新しい土地活用手法としての「定期借地権」をいち早く学び、書籍を執筆し講演をして、一挙に大手建築・不動産会社の顧問が増えました。続く「生産緑地」も農家に踏絵をさせ、固定資産税の軽減か増税かを迫るものでした。生産緑地を選択しますと、固定資産税税はコーヒー代位のなるのですが、いざ相続となりますと更地相当額の評価となるという「仕組債」のようなものでした。このことを、セミナーで解説して差し上げ、都市農家のクライアントが増えたのです。平成12年には、借地借家法の改正で「定期借家権」が創設されました。またここでも、書籍を執筆し、セミナーを開催し大手不動産管理会社の顧問が増えました。


極め付きは、平成17年の会社法成立です。商法から会社編が独立して会社法典という1000条近い新しい法律が成立し、平成18年に施行されたのです。商法という古い法律には、研究者・弁護士等専門家が多数います。新しい法律の解説書を日本で1番最初に出そうと決意して、猛勉強して、分かり易い解説書をイラストレーターでもある友人の税理士と共著で世に出したのです。それが、専門書でありながら脅威の1万部を超える大ヒットになったのです。『中小企業経営者のための新会社法』(経済法令)がそれです。それに続き『逐条解説 中小企業・大企業子会社のためのモデル定款CDROM付』(ぎょうせい)を出しました。これは、全国の公証人役場に常備される書籍となりました。

一介の税理士が、学者や弁護士を差し置いて、会社法の専門書を出すなどおかしなことです。しかし、世の中が激動するときには、足軽から将軍になった秀吉の例のように、法律の素人が日本のトップバッターになれるのです。私はその後、会社法にて法学博士号を取得するという付録もついてきたのです。私が申し上げたいのは、税理士業はサービス業ですので、税務のことしか解りませんと自己限定して、狭い枠に入り込まないことです。クライアントの悩みごと解決業なのです。経営上の課題で困っているクライアントがいれば、関連経営書を10冊以上読んで、提案書をお出しするとか、自宅の建て替えをお考えならば、図面は引けませんが自宅立替にかかる税務上の諸問題をリサーチして差し上げるとか、IPOを目指している会社に対しては、内部統制システムの構築のアドバイスをするとか、とにかく猛勉強で対応していくことで、総合的な実力が備わってくるのだと思います。

このように考えますと、大昔のよういに税理士資格さえ取れば安泰という訳には行けませんが、税理士バッチは営業バッチとして考えて、税理士業は「クライアントに対する感動提供業」であると位置づければ、前途洋々な職種であると言えましょう。