2022年5月22日から27日までの6日間、米国ハーバードビジネススクール(HBS)のExecutive Educationで提供されている「Authentic Leadership Program (ALD)」に参加された本学EMBA修了生2名による留学レポートをご紹介します。コロナウイルスの感染状況の影響により在学中は参加できなかったため、修了後の参加となりました。
名古屋商科大学ビジネススクールでは、HBSだけでなく、Kellogg、MIT、IMDといった世界有数のビジネススクールが提供しているExecutive Educationプログラムに学校推薦で社会人学生が参加できる短期留学制度があります。参加者は帰国後に参加プログラムのCertificateと留学レポートを本学に提出し、研究科委員会の承認を経て本学の修了要件単位として単位認定されます。また、条件を満たせば、帰国後に留学奨学金が支給されるなど、多忙な社会人への短期留学支援を行っています。
米村 歩さん
このプログラムには30カ国を超える約150名の選りすぐられたリーダーたちが集い、多様性に富んだ情熱溢れる時間を共に過ごしました。私のプログラム参加の動機は、現職で多国籍のチームで業務を行うため、今後自分のリーダーシップの核になるものを得たいということでしたが、ALDはまさしく私の求める学びに合致するものでした。
プログラム準備は参加一ヶ月前から本格化し、インターネット上のプラットフォームに、プログラム全体に関する連絡事項やアジェンダ、コース期間中のアサイメント、滞在に必要な関連情報など全てのトピックが一元的に公開されます。参加者はこれらの情報に基づいて、十分な準備を進めた上で参加することが可能です。事前準備としては主に二つの課題が求められました。
まず一つ目は、書籍や資料を元に授業のアサイメントを進めることです。指定されたワークブックによってプログラム全体の議論の下地を準備します。ワークブックでは自分のリーダーシップの基礎となる自分自身の経験や背景、価値観を整理することが主体となります。
そして二つ目は、自分の人生にとって大きな意味を持つ5名の方にインタビューを行い、その方たちのリーダーシップについて学び、ALDの主なテーマについて個人的なインサイトを得ることです。この課題は自身の気づきのためであり、レポートなどの提出は求められません。ALDに参加しなければ、このように人生に大きな影響を与えてくださった方々について深く知ることもできなかったと思うと、このインタビューで伺った話や人間関係は、それだけで私のひとつの貴重な財産となりました。
プログラムを体験して
ALDでの学びはまさしく「体験」にあり、多様性に富んだ仲間たちと6日間集中的に議論し、共に体験することによって理論を実感し、さらに展開させていきます。同じ議論でも一人ひとり受け取るものは異なり、誰かと同じ結論にたどり着くこともありません。その意味で学びはパーソナルなものとなり、この価値はこの議論の場に身をおいて時間を投資して得られるものだと感じました。これらの経験は、今後の私のキャリアにとって折りに触れ背中を押してくれるものになると確信しています。
井村 佐をりさん
このプログラムの期間中はLeadership Development Group(LDG)という7〜8名のディスカッショングループで構成され、私のグループは米国、カナダ、オーストラリア、オランダ、ナイジェリア、サウジアラビアからの7名で、うち5名が男性、女性は2名でした。このプログラムの大きなテーマは「一個人としてどう生きるか」を考えることであり、自分が何者であるかを明確にして、ありのままの自分を快く受け入れられるようになるための徹底的な自己開示が求められます。LDGで行うディスカッションでは自分のライフストーリーだけでなく、弱さや脆さなども共有し、多様な他人の目を通じて自分を見ることで自分自身を理解していきます。互いに自分が知らない強みや特徴を語り合うことで、誰もがパーフェクトでないこと、それで良いのだということに気付かされました。
プログラムでは仕事や人間関係の構築についての議論も深めていき、最終段階ではリーダーとして「他のメンバーに対し、自分がリーダーでなくてはならない明確な理由を示す」ために自身のLeadership Purposeを作成しました。これは、一人ひとりが典型的になりがちな世の中で、自分がどうスペシャルな存在であるか、また「そうであるべき自分」を想起させ鼓舞するような言葉がよく、一度作成して終わりではなく逐次アップデートをしていきます。私のLeadership Purposeは「Develop a continuous learning proffessional team which everyone can speak my mind.(全員が思うことを話し学習し続けるプロフェッショナルなチームを育てること)」。Leadership Purposeの作成後はLDGで共有し、互いにフィードバックをすることでさらに自分の理解が深まり、励まされると共に多くの勇気をもらいました。
プログラムを体験して
6日間にわたるHBSのAuthentic Leader Development Programを終えて、強烈に感じたのは「HBSは人、リーダーを育てており、知識やスキルを教えている場所ではない」ということでした。人は人から学ぶということを実現させているHBSの特別な学修環境を一度でも体験できたことは、私の人生にとって大きな財産になりました。HBSをはじめ、この環境で学ぶことを支援してくれた家族、職場、そしてNUCBビジネススクールにとても感謝しています。