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南ア・スタディツアー 総括レポート

2月18日から1週間、本学で初の試みとなる海外スタディツアーを行いました。MBAの学生として、海外ビジネススクールで学ぶ意味はどこにあったのか?南アフリカの地で参加者は何を得たのか? 引率された研究科長補佐の伊藤教授が事後レポートをしてくださいました。


USB Study Tourレポート

2011年2月18-27日にかけて南アフリカのケープタウンの郊外Bellvilleにあるステレンボッシュ大学ビジネススクースクール(USB)にて当ビジネススクールとしては初めてのスタディーツアーが行われました。

何故、南アフリカなのか?それには色々な理由があります。これからの成長するアフリカを頭で理解するだけでなく、いち早く肌で感じビジョンを持つ。当校の多くのパートナー校がスタディー・ツアーで訪れている事からもグローバルビジネスではBRICSの一つ南アフリカの(我々がまだリアルに感じていないレベルでの)必然性が高い。従って、日本のビジネス界で南アフリカ、アフリカを語れるビジネスパーソンをいち早く創り、増やす事は“フロンティア・スピリッツ”を掲げるNUCB Business School にとっては当然の選択でありました。

結論は「Open Eye」「百聞は一見にしかず」。初日から毎日私たちの常識を書き換えられました。FIFA-WORLDCUPの後である事もありますが、ケープタウンの空港は近代的で清潔な事に感激し、道路が綺麗であり、運転マナーも良く、私たちの印象はケープタウンの第一歩から好印象で始まりました。空港を降りてまず目にするテーブルマウンテンの雄大な姿、都市部の端にあり交通のアクセスが便利なビジネススクールのロケーション、清潔なロッジとUSBの国際交流担当シャーメインさんの豪快な笑顔とホスピタリティに終始リラックスして過ごす事が出来ました。


土曜日についた我々は土日は(唯一の)観光でテーブルマウンテンに登り、シーリゾートで昼食をし、喜望峰までドライブをしました。途中野生の動物にも出会いましたが、それよりも報告すべきはそのリゾート地としての完成度の高さ、環境の良さでしょう。


私が過去訪れたカリフォルニアやプーケット、マイアミというよりは地中海系のヨーロピアンの好むシーサイドリゾートです。食事はシーフード、チキン、ビーフなどとワイン又はビールがお約束ですが、こちらのワインははずれがないので食事は盛り上がります。世界のビジネススクールの多くはその施設の中にパブがあるのですが、やはりこうやって気軽に会話を学生、教授が混じって出来るという事はまた多くの学びがあり、当校にも欲しいと強く感じました。


月曜から金曜は授業とカンパニーツアーのペアで一日が終わります。南アフリカの経済、リーダーシップ、セグメンテーション、ICT、シナリオの講義がありましたが、どの教授も南アフリカだけでなくアフリカ中で高名な方ばかりであり、その講義の質とパッションの高さに非常に感銘を受け、自然と盛り上がる毎日でした。参加者の方々の英語力はかなり幅がありましたが、毎講義の後は毎回交代で代表の挨拶をするというチャレンジをした事も加えて報告します。



会社訪問は南アフリカでSustainabilityで一位のワイナリー(BECKSBERG)と二位の小売業(SPAR)、そしてアディダス、原子力発電所、そして世界二位のビールメーカーSABミラーを訪問、ワイナリーとビール会社では当然時間をたっぷりととった試飲タイムもあり、その構造、精神のみならず製品を目と舌でじっくりと確認しました。


南アフリカではLSMという人口のセグメンテーション基準があり、これとGINI係数を絡めて説明されるケースが講義でも企業のプレゼンテーションがされる事が多い事が印象的でした。参加者も後半になるに従って質問も自然に出て来てとても善いチャレンジをしていました。チャレンジする事で多くの学びや気づきがあり成長が加速されます。参加者全員が濃密な成長をした事は間違いありません。


そして木曜には南アフリカの貧困の現状を見せていただくためのTownshipツアーを行っていただきました。多くの時間は車の中からの見学でしたが、クラフトハウスや身寄りのない女性に職業教育を行い生活や自立出来るための資金づくりを支えている場所に行き、皆が製品を購入しました。こうやってお金を落とす場所を考える事が重要です。これで彼女たちは自分が働いて創ったものが喜ばれ、買われる現場を体験出来ます。そして買われた製品価格の70%は彼女の手に入ります。残りは施設の運営資金に回されています。

その後は教会兼幼稚園を訪問し、子供達と交流をはかりました。子供達には綺麗な南アフリカの代表チームカラーのイエローを主体とした服が与えられ、多くの寄付、寄贈により教育玩具があります。これからの社会を創るという点では生活もそうですが教育が重要です。




ここにはUSBだけでなくピンクリボンの寄金も入っています。この子供達の貧困のかなりの割合はHIV/AIDSが関係しています。この現実もしっかりと受け止めなければいけません。これらのプロジェクトは政府、そしてUSBが強くサポートをしている点も勉強になります。具体的に問題を解決する事、これには「高い志」と「強い意思」が必要です。参加者のお金、ビジネス、社会づくり、そして自分が出来る事、やるべき事についての考え方や行動がより高いものになる貴重な機会であった事を確信してなりません。


最後の日の朝は私は別行動でUSBの主催するLeader’s Angleで講演を行いました。タイトルは”Creating Sustainable and Ethical Future – Japanese Perspectives”です。当日は朝7:45からの講演にも拘らず140人のオーディエンスが集まり、同時にネットでライブ中継もされました。


ここで話す日本人は初めてという名誉ある講演でもあり、前日に全てのスライドを入れ替え1時間のプレゼンテーションを行いました。新しい場所で行う講演は正直毎回どきどきしますが、聴衆のリアクションも良く(ときどきこちらが思いもよらないところで感心されたり、笑いが起こるのが楽しいです)私のキャリアとしても充実した時間となりました。(今年の秋からUSBでも講義を行います。)

最後の夜のフェアウェルパーティーはアフリカンバーベキューで、スプリングボックなどの我々にとって珍しい肉などを堪能、ブブセラに挑戦したり、即席カラオケで日本や南アフリカの曲を歌ったりたりして最後の交流を行いました。

総括

我々の得られている情報はかなり限定されています。こちらに来て、見て初めて知る情報の多さにも驚きます。 例えばSSA(北部以外のアフリカ)の国家予算以上の投資を中国政府は行っています。しかし、現地の人の雇用は伸びていません。何故か?たくさんの中国人が働きに来ているからです。かれらの労働競争力はアフリカよりもあるという側面もあります。 又USBがアフリカ一のビジネススクールである事も重要なポイントです。我々の提携校EDHECなど世界中の多くのビジネススクールがスタディーツアーで訪問している事も知りました。先月は北京大学から70名が来たそうです。 スタディーツアーはもはやグローバルなビジネススクールでは当たり前のものになりました。欧米のビジネススクールを中心にスタディーツアーを必須科目に指定する流れもあります。その意味でNUCB Business Schoolがフロンティアスピリットを発揮し、いち早く南アフリカにいけた事は重要な意味があります。 今回スケジュールや諸々の事情で参加出来なかった方、ぼんやりと検討されている方、そしてまだ考えていない方、是非参加者の声を聞いてください。英語力が問題ではなく、ビジネスパーソンとしての好奇心と向上心、そして具体的に一歩を踏み出す行動力がリーダーをリーダーとして成長させます。来年も多くの方と南アフリカを訪問出来る事を楽しみにしています。

2011年.2月 NUCB Business School Associate Dean, Professor 伊藤 武彦