「さくらサイエンスプログラム研修」を名古屋校にて実施
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が行っている「国際青少年サイエンス交流事業」(さくらサイエンスプログラム)として2024年度に採択された名古屋商科大学ビジネススクールが企画した研修プログラム(科学技術研修コース)が2025年2月1日(土)〜2月6日(木)の6日間にわたり名古屋校にて行われました。本学がさくらサイエンスプログラムを実施するのは2022年度に引き続き、今年度が2回目です。今年度の研修には、本学の提携校でもあるエジプト日本科学技術大学(EJUST)国際ビジネス・人文学部の大学院生5名と教員3名の計8名が参加し、データサイエンス分野の中でも特に「ビジネスアナリティクス」をケースメソッドでどう教えるかといったテーマを中心にセミナーや授業を受講しました。
ビジネスアナリティクスをケースメソッドでどう教えるか
まず最初に、ケースメソッド教授法に関して受講者が理解を深めるため、ハーバードビジネススクール(HBS)のケースを教材にケースメソッドによる授業を参加者が受講し、本学専任教員Prof.Lim Ricardoのファシリテーションによるクラスディスカッションを通して、「多様な視点からの意思決定」のプロセスを学び、学習者視点からのケースメソッドの効果や難しさを参加者に体感してもらいました。続いて、参加者自身が教員の立場でケースメソッドによる授業を行う時の指導方法について、Prof. Lim Ricardoからケース討論の進行方法、受講者の発言を引き出すためのファシリテーション技術、ディスカッションを深めるための問いの立て方などについての具体的な指導がされました。その後、参加者は模擬授業を行い、同教授からフィードバックやアドバイスを受け、より実践的な指導方法を修得しました。また参加者がエジプトへ帰国後、EJUSTで自らケースを作成し教育に活用できるようにするため、授業で使う教材ケースの作成方法、すなわち、ケースライティングの方法についてもProf.Lim Ricardoから指導を受けました。
こうしたプロセスを経て、参加者はケースメソッドを活用した教育を実践するための具体的なスキルを修得した上で、ビジネスアナリティクスをケースメソッドでどのように教えていくかという本題について、データサイエンスを専門とする本学専任教員笹沼克信教授によるワークショップに臨みました。
まず、笹沼教授から、統計学と機械学習の基本概念について解説があり、次に参加者は、実際のデータセットを用いて、データのクレンジング、可視化、基本的な回帰分析や分類問題の解決を試みるなどPythonのNumPyやpandasを用いたデータ処理に取り組みました。データの解釈や意思決定への応用についてもクラスディスカッションを行いました。同ワークショップの最後に参加者は、自身の研究分野や業務に関連するデータを用いたミニプロジェクトを実施し、分析結果を発表しました。
研修の成果と受講者の反応
今回の研修を通して、参加者はケースメソッドに関する体系的な学びから、教育現場でどのように活用できるかを具体的に理解しました。特に、ケース討論の進行方法やケースライティングの技法については、参加者から非常に有益であったとの声が多く寄せられました。ケースメソッドを自国の教育に取り入れる際に、帰国後の実践に向けた具体的なアクションプランを策定する参加者もいました。
また、参加者は後半のケースメソッドを使ったビジネスアナリティクスに関するワークショップにおいて、基礎的なデータ分析の手法を学び、実務への応用可能性を理解することができました。特に、ビジネスデータの分析が、実際の問題解決にデータサイエンスがどのように貢献できるかを具体的に把握できた点は高く評価される成果です。
本学は、今回のさくらサイエンスプログラムで提供した研修を通じて得られた知見を活かし、今後も実践的で効果的な教育プログラムの開発に努めてまいります。


