金子智朗教授によるEMBA「Strategic Managerial Accounting」をご紹介します。
会計には財務会計と管理会計の2種類があります。財務会計とは、制度に基づき決算書を作成するための会計で、株主や投資家に対して結果を報告するための会計です。結果を報告するための会計であるため、その結果に至るプロセスをマネジメントするには向いていません。財務会計とは違って、マネジメントするための会計が管理会計です。管理会計にとって重要なのは正しく意思決定できることです。本授業では、さまざまな管理会計の考え方と手法を学び、定量的な情報を基に経営上の意思決定ができるようになることを目標とします。
授業3日目は、投資の意志決定をテーマとして2つのケースを学びました。1つ目のケースでは、投下資本利益率法(ROI法)、正味現在価値法(NPV法)、内部利益率法(IRR法)など、管理会計で使われる計算式を用い、確実に利益を得られる設備投資に対しての意思決定方法を検討しました。2つ目のケースでは、1つ目のケースで学んだ意志決定方法を踏まえた上で、常に不確実な投資の意思決定を検討していきました。不確実性を扱う有力な方法の1つとして、確率を考慮した投資の意志決定をどのようにすべきかを実例をもとに学びました。
受講生たちは、MBA的なその意志決定の方法を実務で使用した経験がある人もいれば、座学で学んだだけという未経験の人もおり、理解の深度に関わらずそれぞれが持つ視点からの意見を交わしていました。普段見る財務諸表の会計科目や仕訳はなんとなくわかってはいても、具体的にどのような内容がどの科目に入ってくるかは実例からでなければ学べません。通常の財務会計と管理会計の違いについても、ケースとその内容を踏まえたクラスディスカッションでより深く学んでいました。