Paulina Lopez
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マネジメント研究科教授 納村信之先生
行動観察を専門とされている納村先生は、現在、一級建築士事務所取締役としても活躍されている実務家教員です。海外で学ばれた経験をお持ちの納村先生に「建築士を目指した理由や実務での経験」についてお話を伺いました。
取材:2015年11月
語り手:納村信之
取材・構成:名古屋商科大学ビジネススクール広報
納村先生: 僕は絵を描いたり物を作ったりすることが得意で好きだったんです。東大の2年次に「進振り」と言う制度があって、電気工学科や物理学科といった専門を選択しなければなりませんでした。そこで悩んだ末に「建築」を選びました。その当時、電気工学科は花形だったんですよね。だけど僕は将来的に自分が死んでも残るようなモノを創っていく方がいいと思ったので、建築学科に進みました。
納村先生: 卒業後、清水建設に勤めたんですけど、モノを作っていく時に建築家でよかったなと思ったことは「いろんな人と話ができる」ことです。現場の職人、関連会社の人達、幅広い経営者の方々と、モノを作ることを通していろいろな人達とコミュニケーションがとれるのが楽しいです。
納村先生: 「AAスクール」という、英国建築家協会に付属している建築デザインの学校です。簡単に言うと、あの国立競技場で有名な「ザハ・ハディド」が卒業した学校です。今まで世界中で活躍する著名な建築家たちを輩出してきています。そこにどうしても行きたくて、清水建設に勤めていましたけど、いてもたってもいられず、仕事を辞めて3年間留学しました。大学院に行ってなかったので、ワンステップ上に行きたかったという気持ちもありました。
納村先生: AAスクールで刺激的だったのは、世界中の都市を訪問して、そこでいろんなモノを観察してそこからアイデアを抽出してくる「フィールドワーク」という演習をやったことです。例えば突然2日後にグラスゴーのホテルに集合と言われ、そこにみんなで行くんです。行くまでは何の課題かも教えてくれません。その現地で「グラスゴーの◯◯地区を歩き回って興味のある所を抽出し、そこを調査・分析して何か提案しなさい」という課題がいきなりだされます。
納村先生: 前もっていろいろ下調べして色眼鏡で都市を見るのではなくて、その場で起こっていることを自分のフィルターを通して見てこいと言っているんですよ。
納村先生: いや、どっちかというと、自分の問題意識をもって、人々の活動やその周辺のコンテクストを見るっていうのかな。こういう物事の見方が非常に大事だという事を教わりました。みんな見るものや興味の対象が違うんです。各々が持った興味の対象にフォーカスして、自分なりの提案をしていくことが大切なのです。本学のフィールドワーク、行動観察の授業では特にここを強調してみんなに教えてます。イギリスでの経験が今の授業の中で生きているし、自分なりの教え方ができるのかなと思います。
納村先生: 友人のネットワークが変わりましたね。外国人の友達が増え、そのネットワークからアーティストや芸大の学生達とも付き合うようになりました。彼らからいろいろな刺激をうけるので、帰国後の東京での生活は、非常に楽しかったです。
納村先生: あと、帰ってきてからフィールドワークやリサーチを結構やっていました。途中からは母校の博士課程に戻りながら仕事をしていましたね。僕にとって研究と実務はお互いに関係があります。僕の専門はオフィスのワークプレイス研究ですが、働いている人たちの行動観察をしてそこから問題点を発見し、改善したワークプレイスをまた観察することによってまた問題点を抽出するということを繰り返しています。