Paulina Lopez
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マネジメント研究科教授 納村信之先生
行動観察を専門とされている納村先生は、現在、一級建築士事務所取締役としても活躍されている実務家教員です。海外で学ばれた経験をお持ちの納村先生に「ハーバードビジネススクールも取り入れているフィールドワーク」についてお話を伺いました。
取材:2015年11月
語り手:納村信之
取材・構成:名古屋商科大学ビジネススクール広報
納村先生: アイデアはゼロからは何も生まれません。世の中にあるものをちょっと発想を変えて見るだけで全く新しいヒット商品が生まれたりします。何をどのように観察するかに面白さがあるんじゃないかと思います。例えば子供用運動靴の「瞬足」とかね。小学校のトラックの回り方が反時計回りだから靴底のグリップを左右非対称にするといった発想も行動観察から生まれています。
納村先生: フィールドワークはグループでできるだけ行うようにしています。各々が発見したことをブレストすることで、全く新しいアイデアになったりします。また、同じところを見ていても人によって全く違うものを見ていることを再認識するだけでも勉強になりますからね。
納村先生: 各々の学生が何にこだわっているかですよね、それは僕が教えることができないです。オタク文化のようにマニアックな視点をとる方がよい場合もあります。「大量生産の時代」じゃなくて指向性が多様化しているので、その中で何が次にヒットするかを見極めるには自分の嗅覚が重要になってきます。だから、自分が生きている中でみつけた問題意識を重視したほうがいいと思います。極端なほうがなかなか面白くて、新しい商品を生み出すきっかけがあるのではないかと思います。
納村先生: 「観察」は一つの手法としてあるかなという気はします。サービスサイエンスという、最近注目されている分野では、イノベーションやサービスを科学的に解析するために行動観察という手法が注目されてます。
納村先生: あらゆるサービスですよ、営業マンもそうですよね。行動観察の手法を用いて、営業ができる人のふるまいをマニュアル化するというものもあります。営業のできる人とできない人の違いは、できる人には無意識にやっていることなので、わからないと思います。そこで第3者が同伴して両者の行動を観察して比較するんです。両者の比較から得た気づきを文書化してマニュアルにすることで、営業できない人もある程度営業できるようになります。
納村先生: 夏に、ハーバードビジネススクールのエグゼクティブ研修に参加するため1週間ボストンに行ってきました。その研修はケースメソッドについてだったんですが、最後の日に「FIELD」という授業を紹介していました。「FIELD」はハーバードビジネススクールが100周年の記念に新しいチャレンジとしてやり始めたプログラムです。各チームに3000ドルを渡して、新興国をフィールドワークして最終的にスモールビジネスを起業させます。
参考:[The Field Method - MBA - Harvard Business School]
納村先生: ハーバードビジネススクールは、ずっと仮説検証型のケースメソッドしか教えてなかったが、フィールドワークという仮説抽出型の授業を取り入れようとしています。その理由の1つはハーバードビジネススクールの学生が社会に出ると頭でっかちで、結構煙たがられているそうです。実際世の中に出たら頭で考えているようにうまくいかないんですよ。結局ほとんどのチームが失敗してしまうそうです。でも、失敗したことからこそ学べるような「FIELD」という1年間のコースを作ったのは、画期的だったと思います。多様化している今日では仮説検証だけじゃなくて、仮説を立てて発見していかないとなかなか世の中でうまくビジネスを展開することができなくなっているんじゃないかな。そこで、皆さんにフィールドワークをオススメしたいと思っています。新しいアイデアはフィールドに転がっているから、それを拾い上げる能力は今後確実に必要になってくると思います。
納村先生: 講義ではどういうものの見方をすれば気づきが得られるかということを教えます。思い込みを捨ててもっと素直に見ることが大事です。講義を受講した学生が口を揃えて言うのは「周りを見る目が変わってきた」「無意識で見ていたものが意識してみれるようになった」というとことを皆さんおっしゃいます。