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ネットワーク活動レポート

Network Report

税理士・公認会計士ネットワーク開催(2024年9月15日)

名古屋商科大学ビジネススクールの修了生・在学生がメンバーとなっている税理士・公認会計士ネットワークの第11回勉強会が京都・妙心寺にて開催されました。

妙心寺は、かねてより厳重な会計制度に基づいた寺院経営に確固たる内部統制を構築しており、その結果、地方に末寺を増大させ、宗勢を飛躍的に拡大させました。そして、今で言う、金融システムや共済システムを構築して質素倹約を実行していました。いつの頃からか、京都の人々から「算盤面(そろばんづら)」と称されるようになりました。

その後、2001年にアメリカの大手エネルギー会社エンロンが起こした巨額不正会計事件「エンロン事件」によって内部統制の再構築が求められ、企業不正を事前に防止するのは組織内の厳重な会計制度であるという認識が世界中で広まりました。妙心寺がその約600年も前から適正な内部統制を意識した寺院経営を行っていたことは、世界的にも驚くべきことです。


当日は、妙心寺の案内人と妙心寺の主要箇所を拝観し説明を受けながら、参加者が「算盤面」について、妙心寺の案内人に質問し討議を行う形で進行しました。妙心寺の‘算盤面’に関する入手可能な資料がインターネット上の記事に限られていましたが、参加者全員で予習を行い、質問や討議内容を準備したうえで臨みました。その後、妙心寺が「算盤面」と言われる基となった会計制度を始めて導入した、妙心寺塔頭「衡梅院」前にて討議を行いました。最も印象的だったのが、参加者から、約600年も前には複式簿記で記帳していたことは考えにくい旨伝えると、妙心寺の案内人から、今で言う出納帳から貸借対照表まで作成していたことを伝えられました。また、参加者から、組織の内部統制は上層部の意思により無効とできるため、当時の上層部は横領などの不正を行っていた可能性があるのではと質問したところ、寺の記録では上層部ですら寺のお金を横領できなかったほど厳格な仕組みがあったことの説明を受けました。これらに参加者一同驚愕しました。

参加者からは「会計というのは、経営事象を測定するだけではなく組織内の不正を事前に防止、または事後的に発見することできるので、内部統制構築のための最も重要な手段であることが理解できた」「改めて会計の重要性が理解でき、会計人として活躍することに意欲が高まった」「適正な内部統制を構築するためには、適正な会計制度を企業内に設定することが重要であると理解し、クライアントに説明する際の参考になった」などの感想があがり、組織内の適正な会計制度と組織内の適正な内部統制の構築に関する見識を広められた方が多かったようです。



「税理士・公認会計士ネットワーク」とは


本学を修了した税理士・公認会計士が和となって、税務・会計スキルの向上、独立開業に向けた取り組み、事務所経営者としての経営スキルの向上などについて情報交換を行い、また励まし合いながら切磋琢磨し、税理士・公認会計士としてのスキルを向上・維持させるために設立されたネットワークです。