ビジネス・リーダーとミーニングフル・ワーク
本橋 潤子
名古屋商科大学ビジネススクール 教授
企業の「強さ」を追求するのが戦略(論)とするならば、企業の「よさ」を探究するのが企業倫理(学)である。この企業倫理において、さらには経営学や心理学をも巻き込む形で、近年、着目されている概念の一つに、ミーニングフル・ワーク(Meaningful Work)がある。直訳すれば「意味ある仕事」、平易に言えば「働きがい」だが、ビジネス・リーダーにとっても、従業員やメンバーの働きがいをいかに生み出し、持続させていくかは、大きな関心事であり、しかし難しい問題と思われる。
これに近似する概念としては、職務満足(Job Satisfaction)や、天職(感)(Calling)がある。職務満足は、報酬や職場環境から自己実現まで幅広い欲求を包含し、実務でもよく知られているが、その主語は「自分が」であり、その視座は主観的である。一方、天職(感)は、“Calling”という原語からも想起されるように、運や偶然を含む「超越的な何か」の影響(召喚)によってこの仕事を得たという感覚や、その仕事と社会の利益向上のつながりといった向社会志向性が関わるとされ、その視座はより客観的である。
ミーニングフル・ワークは、これら職務満足と天職(感)の間に位置づけることができる。「働きがいがある」と言うとき、私たちは、それが「自分にとって」どういう意味があり、重要で、心地よいかということを意識せずにはいられない。しかし一方で、「他者にとって」この仕事がどういう意味をもち、大切で、影響を及ぼすのかということも大きな支えになっている。ミーニングフル・ワークには、「自己」と「他者」の二つの視座による「意味」が必要なのである。
では、こうしたミーニングフル・ワークを醸成する要因は何か。多くの知見がある中で、ビジネス・リーダーがコントロール可能なものとしては、職務設計や組織風土、さらには、リーダー自身のリーダーシップ・スタイルといったものが挙げられる。と同時に、こうした疑問も生じるかもしれない。「従業員の働きがいが高まると、企業の強さや業績にはどう貢献するのか」と。もちろんこうした研究も(豊富に)存在するのだが、ここでは、企業倫理(学)の立場から、このように問うてみたいと思う。「もし、企業の強さにも業績にも寄与しないとわかったならば、従業員やメンバーの働きがいは、後回しにされるのでしょうか」と。そして、この問いに対するリーダー自身の応答と、そこに至るまでの思索の深さが、そのメンバーのミーニングフル・ワークに(おそらくは最も)強く影響するものと思われる。
これに近似する概念としては、職務満足(Job Satisfaction)や、天職(感)(Calling)がある。職務満足は、報酬や職場環境から自己実現まで幅広い欲求を包含し、実務でもよく知られているが、その主語は「自分が」であり、その視座は主観的である。一方、天職(感)は、“Calling”という原語からも想起されるように、運や偶然を含む「超越的な何か」の影響(召喚)によってこの仕事を得たという感覚や、その仕事と社会の利益向上のつながりといった向社会志向性が関わるとされ、その視座はより客観的である。
ミーニングフル・ワークは、これら職務満足と天職(感)の間に位置づけることができる。「働きがいがある」と言うとき、私たちは、それが「自分にとって」どういう意味があり、重要で、心地よいかということを意識せずにはいられない。しかし一方で、「他者にとって」この仕事がどういう意味をもち、大切で、影響を及ぼすのかということも大きな支えになっている。ミーニングフル・ワークには、「自己」と「他者」の二つの視座による「意味」が必要なのである。
では、こうしたミーニングフル・ワークを醸成する要因は何か。多くの知見がある中で、ビジネス・リーダーがコントロール可能なものとしては、職務設計や組織風土、さらには、リーダー自身のリーダーシップ・スタイルといったものが挙げられる。と同時に、こうした疑問も生じるかもしれない。「従業員の働きがいが高まると、企業の強さや業績にはどう貢献するのか」と。もちろんこうした研究も(豊富に)存在するのだが、ここでは、企業倫理(学)の立場から、このように問うてみたいと思う。「もし、企業の強さにも業績にも寄与しないとわかったならば、従業員やメンバーの働きがいは、後回しにされるのでしょうか」と。そして、この問いに対するリーダー自身の応答と、そこに至るまでの思索の深さが、そのメンバーのミーニングフル・ワークに(おそらくは最も)強く影響するものと思われる。
Reference
本橋潤子(2023)『人と組織がいきる倫理マネジメント―仕事の有意味感からの探究』白桃書房
本橋 潤子 | 教員一覧 | 名商大ビジネススクール - 国際認証MBA
名商大ビジネススクール - 国際認証MBA
https://mba.nucba.ac.jp/faculty/junko_motohashi.html![]()