アブストラクト
株式会社ひらまつ(以下ひらまつ)は、総料理長兼代表取締役であるAが創業した、日本におけるフランス料理、カフェ、レストランブライダルのパイオニアでもある企業である。高級レストラン業態としては初の一部上場企業であり、資金調達力と強固な財務基盤、ネットワークを武器に、フランスの様々な三ツ星シェフと提携し、ブランドポートフォリオを形成。各ブランドがミシュランの星を獲得し、独立した力を持たせ、さらにディフュージョンラインを設けることで、それぞれの役割、適用範囲、相互関係を明らかにし、導線を確保すると同時に住み分けを行っている。また、ブライダルを基幹事業と定め、ブランド力と様々なシチュエーションに対応可能な店舗数、そしてなにより料理に価値を置き、招待客の満足をプライオリティにおくカップルを獲得。店舗展開の際もブライダル対応を見越した店舗を展開。そして、ロイヤリティマーケティングを怠らないことで、リピート率の向上と新規開拓を無駄なく行っている。また、フランスに現地法人を設けることで、ワインや食材仕入れの中間マージンを削除し、さらにスケールメリットを生かし安価での調達に成功している。こうしてグループ利益を蓄積し、更なる店舗展開でポートフォリオの強化を図るというビジネスモデルで、景気や外部環境の影響を大きく受けるという外食業界の中で、恒常的に続く不況やネガティブな外部環境の変化をものともせずに、右肩上がりの成長を遂げている。財務的にはブランドポートフォリオ戦略の特性上どうしても悪くなってしまう安全性以外は何も問題がないように思えるが、利益を上げるための無理がたたり、ほころびが見え始めている。本ケースは,こうした状況の中、経営企画部長であるBが既存のビジネスプロセスを検証し,今後更なる成長をするため,さまざまな可能性を探るというケースである。本ケースは、取締役および経営企画部という経営の舵取りをおこなう者の視点で、高級フレンチ、イタリアレストランのブランドポートフォリオ戦略の先駆者として、その問題点を明らかにし、成熟市場の中における成長戦略について考えるプロセスを提示している。
詳細情報
ケースID | 11-1073 |
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登録 | 2011 |
業界 | 専門料理店 |
分析領域 | マーケティング |
ページ数 | 25 |
言語 | Japanese |
ティーチングノート | あり |