病院勤務医の実態 2014

アブストラクト

病院勤務医とは、全国各地の病院に勤務している医師達のことである。日本の高水準の医療を提供・維持しているのは病院勤務医であり、いわゆる開業した診療所の医師では、その機能は果たしづらい。医師不足が叫ばれて久しいが、特に不足しているのは地方の病院勤務医であり、今後も不足状態が続けば、適正な医療の提供ができなくなり、日本の医療体制が崩壊していく可能性がある。現在まで、医療の進歩は、制度や設備、病院機能といったハード面の整備が先行し、それと並行して、実際に医療を行使している病院勤務医の労働環境、即ちソフト面は十分に整備されてこなかった。その結果、医師の労働環境は悪化の一途であり、現場医師の使命感と献身さでしのげる限界点を超えてしまっている。それが、病院勤務医からの離脱、医師の専門科と地域の偏在という形で、静かな反乱として顕在化し、病院勤務医不足にさらに拍車をかけている。本ケースでは、地方の病院に勤務し現場を知る筆者が、病院勤務医の労働環境について、「本当にこのままでいいのか？」と疑問を持つことから始まる。そして、病院勤務医の一人として、自らのキャリアや現場の実態、周囲の医師達の動向から、現在の様々な医療体制の問題点に気づき、各要素がなぜ病院勤務医の不足につながっていくかを探り、さらに、それらをどのように解決すれば「病院勤務医不足」を解消し、日本の医療体制を守れるかを考えている。

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