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チームが有機的につながって 力を発揮することの意味(2)

今村さん × 髙木教授
50有余年の歴史を持つ技術者集団であるアルプス技研では、高い技術を持ったエンジニアを取引先に派遣しています。人と人のつながりと、高い技術を持った技術者を育成し、プロジェクトごとに取引先に派遣をするという特徴のある経営で、経営の安定基盤を作ってきました。有機的にチームがつながって、力を発揮することが大切であるという考え方を、本学でも学びましたが、アルプス技研の社長としてのモットーとしていた“チームアルプス”の考え方と共通したものであるということに気づくことができ、その後の社内の統合力づくりに大いに役立てることができました。仲間との議論や印象的な教材によって考え方を整理するなど、本学での学びは貴重な時間でした。

At Alps Giken, we have been dispatching highly skilled engineers to client companies for over 50 years. Our legacy is rooted in a strong management philosophy that values both human connections and the cultivation of technically proficient professionals, who are assigned to projects on a case-by-case basis to provide technical services.
The importance of organically connected teams—essential for unlocking true potential—is a concept I first encountered at NUCB Business School. I soon realized how closely this idea aligned with the “Team Alps” vision I embraced as president of Alps Giken. Applying the core values I gained in the classroom played a vital role in strengthening unity and collaboration within the company.
My time at NUCB Business School was truly invaluable. The rich discussions with peers and impactful course materials helped me sharpen my thinking and refine my approach to leadership and organizational development.

Continued from "チームが有機的につながって 力を発揮することの意味(1)"

仲間と議論しながら 学んだ貴重な時間

今村:チームアルプスというビジョンを掲げて経営を進めていったのですが、実は髙木先生のリーダーシップの授業を受けて、深く実感したことがありました。グループは個の集まりではあるけれど、対してチームは、みんなで力を合わせていく有機的なチーム力が、1+1=2ではなく、無限の可能性や発見が生まれるんだ。という話が、まさにチームアルプスだと感じました。髙木先生の授業によって自分に自信を持つことができたのです。

髙木:「はやぶさ2」の津田さんのケースですね。

今村:はい、そうです。

髙木:無機的なチームとは、一人ひとりが機械部品になって、部品の連結で全体の装置を作ること。対して有機的チームというのは、一人ひとりが自分で考えて、全体がどうなっているかを自分の目で見て、隣と隣がどう繋がっていればもっと良くなるかを考えることを言います。それを授業で学ぶために、「はやぶさ2」をケーススタディにしました。「はやぶさ2」は、惑星で岩石のかけらを持って帰ってきましたね。あのサンプルリターンをやり遂げた人たちははどういう人だったのだろう?という分析をして教材に使っていました。かなり長い教材で2冊ありましたね。

今村:私の時は一冊しか授業では使っていないので、今度もう一冊の教材を読んでみようと思います(笑)。

髙木:今村さんは最初の年だったので、Aしか使っていなかったんですね。今はAもBも使っているんですよ。ぜひBも読んで参考にしていただきたいです(笑)。改めて、本学での学びを振り返って、いかがでしたか?

今村:「はやぶさ2」の教材からは、組織と行動マネジメントのことや、グループとチームの違いについて、改めて見直して学びました。それを弊社の仕事の現場で語ったこともありました。本当に為になる学びでした。

髙木:それは嬉しい話です。

今村:弊社では航空宇宙を成長分野と位置づけて、航空宇宙業界へのビジネス展開を強化をしています。当社の子会社である(株)デジタル・スパイスが開発したミネルバの画像処理基盤が「はやぶさ2」に搭載されました。その他宇宙産業関連の取引先にも技術を提供しています。偶然ですが、「はやぶさ2」の教材が思わぬところで繋がっていました。

髙木:成長分野である業界に対して技術を提供する。というベースをしっかりと守りぬいていらっしゃるんですね。

今村:そうですね。航空宇宙、半導体、AIなど、日本企業として技術を高められる分野や、環境を配慮した技術に対して技術サービスを提供できる企業でありたいですし、それが差別化につながると考えています。

髙木:本学での時間が、現実のビジネスシーンでお役に立てたのならなによりです。

今村:仕事をしながら週末に学ぶことは、正直に言って時間的な面で、とてもきついことが多かったです。それでも仲間と議論しながら、ああだよね、こうだよね、と話しあったことは、経営者としての考え方の整理に非常に役立ちました。従業員満足度からエンゲージメント、そしてウェルビーイングにつながるような策とは何だろう?と考えた時、衛生要因だけでなく動機付要因が重要だと思います。自らやったことがみんなのためになっていて、それを体感することが大切である。と実感したことも印象深いことでした。

髙木:社員の方が、自身の価値を知る機会を今村さんが創っているということですね。感心しました。今日はとても良いお話をうかがうことができました。ありがとうございました。

another question about AI technology

今村:過去の動きや経済の変遷についてどう考えるかなど、自分自身の考え方を整理するために、AIと会話をすることが有ります。当社では、社内で企画業務をする者は、企画書や報告書の作成などで使っています。また技術者は、取引先でAI がどのように使われていく可能性があるかを知っておく必要もあります。データサイエンスとしてAIを活用することなどこれからは、AIリテラシーを高めていくべきであるというのは感じておりますので、人的資本への投資として全社員への教育を強化しています。また、資格取得報奨制度にも組込み資格取得を奨励しています。

株式会社アルプス技研 取締役相談役 今村 篤
Atsushi Imamura

2025年、名古屋商科大学ビジネススクール 経営学修士(EMBA)修了。1990年、アルプス技研に新卒として入社。技術者として電気・電子の設計開発をした後、教育・営業等を経験、現場経験を活かした仕組みづくりで会社を牽引。2015年、代表取締役社長に就任。全社員が一丸となり、高度な技術サービスを提供することを目標とする『チームアルプス』を提唱。連結売上500億円/年規模の企業に成長させた。神奈川ニュービジネス協議会会長、日本ニュービジネス協議会連合会理事、横浜イノベーション研究会副会長(発起人)。2025年4月より現職。

株式会社アルプス技研 取締役相談役 今村 篤さん

名古屋商科大学ビジネススクール教授 髙木 晴夫
Haruo Takagi

1973年慶應義塾大学工学部卒業。75年同修士課程修了、78年同博士課程単位取得退学。同84年ハーバード大学経営大学院博士課程修了、経営学博士号(DBA)取得。1978年慶應義塾大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)助手、84年同助教授、94年同教授。法政大学経営大学院イノベーションマネジメント研究科教授を経て、2018年より名古屋商科大学ビジネススクール教授。

髙木晴夫 教授