慶應ビジネススクール 髙木晴夫教授のMBA授業Live [リーダーシップ論]
慶應義塾大学ビジネススクールは、MBA(Master of Business Administration 経営学修士)教育を行なうために、日本で最初に設立された経営大学院で、アメリカのハーバード・ビジネススクールを範としています。経営教育の授業方法もハーバード・ビジネススクールにならい、講義形式ではなく、「ケースメソッド」という討議形式で行なわれます。
本書は慶應義塾大学ビジネススクール髙木晴夫教授のケースメソッド授業を紙面上に再現し、読者が討論授業を疑似体験できるようにすることを目的としています。現実に読者は読んで考えることしかできませんが、なるべく実際の授業の雰囲気を味わい、なおかつ考えることができるよう工夫されています。
本書で使用される「ケース教材」(経営の事例が記述された冊子)は、実際に髙木晴夫教授が慶応義塾大学ビジネススクールで使用しているものを、同校の許可を得て本書のために縮小してまとめたものです。また、ディスカッションは、二〇〇〇年及び二〇〇一年における慶應義塾大学ビジネススクール髙木晴夫教授のMBA授業(「組織マネジメント」と「ネットワークリーダーシップ」の二つの科目)と、テレビ会議システムを用いた遠隔セミナー授業を録画し、編集したものです。
実際のケースメソッド授業では、学生はまず、ケースを読み、それを個々人で分析し、自分の意見を形成します。そして、六~八人のグループに分かれて討議を行ないます。その後、クラス全体でのディスカッションに入ります。
MBAのクラスの場合には約四〇人の学生が、遠隔セミナーのクラスの場合には、約一五人の参加者が、討議を形成しています。その間教授は、ディスカッションの流れを受講生が意識しやすくするために、絶えず発言のメモを黒板(ホワイトボード)に整理しながら書き、まとめていきます。
MBAクラスの生徒の平均年齢は二九~三〇歳ですが、最も若くて二三歳、最も年長で五十代の方まで、幅のある年齢構成です。ですから、ほぼ全員が実務経験を持っており、MBA教育を受けてさらなるキャリアの飛躍を目指しています。
遠隔セミナーでは、一般の社会人の参加が中心となります。最新のIT技術を用いて、教室に集合していなくとも、効果的に意見交換を行ない、討議していくケースメソッドセミナーです。クラスはインターネットを通じて電子空間内に形成され、実際には遠隔にいても、相互に活発に熱心な議論が展開されます。
紙面授業を目的とした本書でも、実際の授業と同じようなステップを踏むように構成されています。読者はまずケースを読みます。次に設問をもとにケースを分析し、自分の意見を形成し「自分の意見記入用紙」に書き留めておきます。その後、ディスカッションを読むことで自分の意見と比較検討していきます。