Integratto Inc. 2020
アブストラクト
我が国のソフトウェア産業は、マイケルポーター、竹内弘高(2000)により7つの日本の失敗産業の一つとされた。また、ソフトウェア産業研究会(2005)では、我が国のソフトウェア産業におけるビジネスの主流は受託システム開発である。しかし、この受託システム開発には、既に限界が見え始めているとの指摘を受け、このように受託システム開発中心の構造で、低成長、低収益に留まって2010年には史上最悪の倒産件数に至り、各企業は如何に生き残るかという経営課題が死活問題になってきている産業でありながら、峰滝和典、元橋一之(2009)によると、「情報サービス産業の中でもソフトウェア産業は元請と下請という重層的な産業組織構造を持っているが、日本のソフトウェア産業の生産性にどのような影響を与えているかについては、まだあまり実証分析がなされていない。」とされる等、研究余地が大きいソフトウェア産業に焦点を当ててケースを組み立てている。いくつかの中堅規模の受託ソフトウェア開発企業の業績を見ても、産業構造の変革が激しい特徴的なソフトウェア産業の中で、急速な技術進化や不確実性の波に直面する状況が明らかであり、このような不確実性の下で、その本質を捉えて研究対象企業が如何に生き残るかの経営戦略を学ぶケースとする。クラウドコンピューティングやビッグデータにより革命的な変化が進む中で、ソフトウェア開発企業はどのような方向性に進むべきと考えるか。言葉が先行しバスワードとも言われる"ビッグデータ"の本質や"ビジネスアナリティクス"の意義と役割について整理した上で、本ケースの真に重要なテーマは意思決定の本質を理解することとして展開する。不確実性が高まる昨今の経営環境において、如何に未来のシナリオを描き、不確実性に対処し意思決定するかという、近時注目されている"シナリオ・プランニング"を学び、また"Discovery-Driven Planning(仮説志向計画法)"という考え方を理解し経営者として意思決定の現場で活かすことが出来るようにする。Discovery-Driven Planningを理論的な基礎とした意思決定支援、シナリオ・プランニング分野のソフトウェアを開発して成長を目指しているベンチャー企業であるIntegratto Inc.(以下、Integratto社)の社長の立場で今後の成長戦略として、どのような戦略をとるかべきかを検討する。
詳細情報
ケースID | 13-1070 |
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登録 | 2013 |
業界 | ソフトウェア業 |
分析領域 | 総合経営 |
ページ数 | 29 |
言語 | Japanese |
ティーチングノート | あり |