日本駐車場開発株式会社 2017
アブストラクト
主人公である仲谷(33歳)は、これまで大手の証券会社のリテール(個人)営業を1年、IT系ベンチャー企業へ投資を行うベンチャーキャピタルで2年半、飲食店舗などを多事業展開するベンチャー企業で5年、美容室やカーシェアリング・イベント事業などを展開する法人を自ら設立して運営4年、機械式立体駐車場を管理運営する日本駐車場開発株式会社(以下NPD)と3度の転職と起業の経験を持っている。NPDのように関心のある分野のビジネスを展開し、上場企業の中でも比較的ベンチャー志向で多事業展開している企業は比較的に少ないだろうと認識している。そのため、他社に比べてキャリアアップを図る機会はあると考え、縁あって入社した。今の目標は短い期間で成果を残し、30代後半では執行役員以上、年収2000万円になることである。その考えの一方、NPD以外においても機会があれば更なるキャリアアップをするための方法と手段は並行して模索している。自身では浅くはあるが、幅広い業種業界の知識と経験、様々なネットワークを通しての見識の多さから一定の条件を満たす環境では、どこでも通用する自信は持っている。一方、大企業に新卒から勤め続けて環境が整えられていながら、不平不満を言う同年代が受け取っている年収は1,000万円前後あり、年収面の差がある点に若干ながらの後悔や劣等感は感じている。また、仲谷は家族や友人、ある規模以上の大きな会社に勤める人から「そろそろ地に足つけて仕事した方がいい」「芯がない」などの意見を言われることがある。全く気にしていないと言えば嘘になる。年収面、キャリア面で誰もが認める成果を出すにはどういう選択が正しいのか、今後のキャリアについても考える内容となっている。2015年3月からNPDに中途で入社し、同9月から中小企業診断士資格とMBAのダブル資格を取得するため、2年間に渡って名古屋商科大学大学院ビジネススクールに通い始めた。大学院の単位も無事に取得しており、2017年9月に卒業を迎えるが、卒業以降のキャリア開発についてどのような選択ができるのか、また選択肢を増やす方法がないのか、その選択をする上で何が重要であるのかを悩んでいるところである。選択肢を考えながら、NPDの子会社である日本自動車サービス開発株式会社(以下NCS)へ2017年5月から自ら希望して出向することが決まった。大阪拠点の責任者としてのポジションである。そこでは新たに開発された新商品を広めていかなければならないというミッションが課せられた。2017年7月(7月決算)に迎える損益着地では、その商品は予算比34%程度の達成率と計画を大幅に下回っていた。理由としては、商品の認知度の低さ、ユーザー対象見込である法人内部での決裁時間の長さ、ユーザーごとにカスタマイズが必要など、商品としても社内体制としてもまだまだこれから整えていく状態である。その状況に対して自身のパーソナリティ(人格やスキルの意味)を活かした戦略も考える必要があると感じていた。そのパーソナリティとして起業や新規事業を開発するアントレプレナーシップを企業内において発揮するイントラプレナーシップ(企業内起業家)が1つ重要な要素となると感じていた。昨今、新たなビジネスのルールが変わりつつある。裁量労働制やフレックス・在宅勤務などの働き方改革、自動運転技術、AI技術、シェアリングエコノミー、グローバル化など現在そして未来に向かって必要とされるビジネストレンドは大きな変革の時期へ突入している。このような環境の中で、企業内において、仲谷は自分が経験したようなことは必要とされる時代になると考えている。つまりアントレプレナー的発想によるイントラプレナー化である。なぜなら環境の変化には、柔軟に対応できる要素が必要となるからである。この要素に対応できる人材は起業家精神を持つ必要があると考え、その起業家精神はどこから生まれて、どのように活かすことができるか。そしてそのようなイントラプレナーを育成するにはどうすればよいのかを議論の対象とする。
詳細情報
ケースID | 17-1031 |
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登録 | 2017 |
業界 | 駐車場業 |
分析領域 | リーダーシップ |
ページ数 | 31 |
言語 | Japanese |
ティーチングノート | あり |