原島 秀哲さん
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3C分析、SWOT分析をはじめとしたフレームワークの基礎からマーケティングミックスの手法、企業価値を数字で捉えるコーポレートファイナンスなど、事業の創造に直結する基本的な知識を養うことができました。また...
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PreMBA
4月から本学に着任された刈屋武昭先生による「MBAファイナンス」が東京校スタジオを用いて、オンラインにて開講されました。
この授業では、コーポレート・ファイナンスにおける会計・金融な基礎知識と、コーポレート・ファイナンスの重要領域である、企業の投資の意思決定に関する諸問題を、ケーススタディとクラスディスカッション・グループディスカッションを通じて学んでいきます。
1907年岩崎俊弥によって創業された老舗ガラスメーカーの旭硝子株式会社(AGC)は、創業者の理念通り「易きになじまず、難きにつく」企業文化が現在でも根付いています。
その実現に大きく寄与したのが、1998年に社長兼CEOに就任した石津進也による改革です。石津は、真の国際的企業を作り上げるため、社内体制と企業文化に対して数多くの抜本的改革を実施しました。
社内体制の改革の一例は組織再編です。「社内カンパニー」と称される4つのビジネスユニットに組織を分割し、その中核事業のトップには2名の外国人幹部を登用しました。同時に、抜本的なコーポレートガバナンスに関する改革、および経済付加価値(EVA)に基づく資源配分や業績評価のための新マネージメント・システムの導入がされ、いまもなお、絶えず変化するグローバルなビジネス環境に順応していけるような仕組みの確立に、石津率いるAGCは注力し続けています。
この旭硝子株式会社のケースを用いて、刈屋武昭先生から出された検討課題の一つは、「ケースの中で触れられている経営統合の視点から、組織文化の在り方とEVAの関係を議論せよ。また、組織文化とコーポレート・ガバナンスと組織統合の関係のあり方を述べよ」です。
このディスカッションを行うにあたって、まずは刈屋武昭先生から会社組織やEVA(経済付加価値)について解説がなされました。これを受けてファイナンスやガバナンスの視点を獲得した受講生からは、
・会社組織(仕組み)が変われば、業績が改善されるのか?
・トップ(リーダー)が変われば、企業文化は変わるのか?
・EVAやKPIと組織文化の相関関係をどのように考えるか?
など、企業の変革に寄与するのはトップ(リーダー)なのかそれともEVAやKPIといった指標や仕組みなのかという点について、受講生自身の実務経験も踏まえながら様々な意見が述べられていきました。
先生ご自身のこれまでの研究、コッターの「変革の8段階のプロセス」など経営学上の理論、さらにエンロンや神戸製鋼・東芝といった不祥事を発生させてしまった企業の実例など、多岐にわたる視点が盛り込まれた刈屋武昭先生のファシリテートによって、受講生たちはいつまでも議論が尽きない様子でした。
そしてディスカッションの最後に刈屋武昭先生から受講生に贈られた言葉は、「システムは常に食い潰されていくことを忘れてはならない」です。
トップ(リーダー)は透明化・健全化をはかるために、新しいシステムを創出していきます。しかし一旦、システムを作るとそれによって利益を享受する人によって既得権化され、その新しいシステムが食いつぶされていくというジレンマに陥ります。この事に意識的である人こそ真のリーダーなのだと解説され、受講生たちは持続的な発展をもたらす真のグローバル企業の創設のために、リーダーとして自分は何をどうすべきかと問い続けていました。
刈屋武昭先生のプロフィール
一橋大学経済学修士。ミネソタ大学統計学部Ph.D. 九州大学理学博士。
一橋大学名誉教授。米国数理統計学会フェロー。
日本統計学会賞、日本金融・証券計量・工学学会賞、受賞。
一橋大学経済研究所教授、みずほ第一フィナンシャルテクノロジー理事、京都大学経済研究所・金融工学研究センター長、明治大学専門職大学院ビジネススクール・研究科長、城西国際大学特任教授を経て現在。客員ポストとして、 ロンドンスクール・オブ・エコノミックス、ピッツバーグ大学、ラトガース大学、シカゴ大学・ビジネススクール、等客員教授。経済企画庁経済研究所客員主任研究官、日本銀行金融研究所客員研究官、経済産業研究所ファキュリティフェロー、内閣府景気動向指数研究会委員、財務省財務総合政策研究所40年国債発行研究会委員長等。日本金融・証券計量・工学学会(ジャフィー)、日本不動産金融工学学会(ジャレフ)、日本保険・年金リスク学会(ジャリップ)、日本価値創造エンタープライズ・リスクマネジメント(ERM)学会、の4学会設立会長。
本授業は、PreMBA(履修証明プログラム)あるいはMBA単科 として開講されており、MBAの基礎を年間を通してあるいは特定の科目を集中的に受講し、専門知や実践知を体系的に修得していきます。
PreMBAとはMBAのエッセンスを凝縮して1年間で学ぶ事が可能なプログラム。マネジメント領域の学修を網羅したカリキュラムを年間を通して体系的に受講することで、ビジネスに必要な高度専門基礎知識・スキルを修得します。プログラム修了時には学校教育法に基づいた「履修証明書(Certificate)」が交付され、社会人の学び直しやキャリアアップに有効です。PreMBAは高卒以上の方から受講することができ、プログラムを修了した方は、本ビジネススクールの学位プログラム進学のための受験に挑戦できます。MBA取得や税理士試験合格など、より発展した学びを目指してください。