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《MBA》「Innovation & Creative Thinking」北原康富教授

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北原康富教授によるInnovation & Creative Thinkingの授業レポートをお届けいたします。

Innovation & Creative Thinking

イノベーションは、企業の成長の原動力であるだけでなく、より高い価値を生み出すための個人のチカラとしても、重要な問題です。この授業では、イノベーションの本質を理解した上で、イノベーションを起こすためのプロセスやテクニックを修得します。また、創造性に関する研究で得られた知見を理解し、テクニックがより効果的に応用できるようにします。その上で、イノベーションを促すマネジメントのあり方や仕組みを探ります。授業の目標として次の4点を置いています。①イノベーションの本質を理解する。②デザイン思考をビジネス現場で応用できるようにする。③創造性に関するヒトの思考プロセスを理解し、創造的技法がより有効に活用できようになること④イノベーションを引き起こす組織の共通要因を理解し、組織の創造性を促しイノベーションを引き起こすマネジメントの仕組みを検討できるようになること、です。製品開発や製品企画に関わる技術者、事業開発、製品マーケティング、および経営管理を目指す人々のほか、製品イノベーションに興味を持つ人などを対象にしています。授業の中ではショートケースや演習を取り入れ、受講生自らによって発見する体験(アハー体験)をしていただき、セレンディピティの一端に触れる機会を設けています。

講義4日目の様子


最終日となる4日目の午後には、この授業を締めくくるに相応しいゲストスピーカーをお招きしました。世界的に有名なデザインコンサルティングファーム「IDEO」の野々村健一氏です。欧米におけるデザインシンキングのビジネス社会への浸透など、各社の事例を盛り込んでお話しいただきました。また日本でのIDEOの事例を踏まえ、デザインシンキングを用いてイノベーションを起こす上で必要なマインドセットなどに関しても触れており、受講生にとって大きな学びとなっていました。質疑応答では、この貴重な機会を逃すまいと質問が相次ぐ中、どんな質問にも丁寧にお答えいただいていたのが印象的でした。

「許可を得るより、許しを乞え」


様々なところで講演されている野々村様ですが、通常この様な場ではほとんど質問が出ないとのこと。しかし昨年授業にお越しいただいた際、想定を上回る質問を受けたことが印象的だったそうです。質疑応答を通して、受講生の意識の高さに感心されていらっしゃいました。

冒頭では、IDEOが過去にやってきたこと、今やっていること、そしてこれからの潮流などを具体的な事例を通してお話いただきました。例えばプロダクトから体験へとデザインの領域がシフトしていること、またビジネスのシステムそのものまで領域が広がっていることをご紹介いただきました。もはやデザインという言葉では括ることができなくなっており、「デザイン×何か」という形で考えることの重要性を説かれていたのが印象的です。
近年では日本企業においても、プロダクトやサービスの視点から、組織全体をどうデザインするか?という視点に変化しています。これは目の前の経営課題を解決するという短期的な視点から、中長期的な視点にシフトしているという証拠で、組織として正しい方向性に向かっていると言えるでしょう。

しかし受講生からの質問を振り返ってみると、日本企業はまだまだマインドセットを変える必要がありそうです。
新規事業をマネジメントに提案する際、「儲かるのか?」「ROIは?」「何年で黒字化するのか?」など、既存のビジネスでは当たり前とされる質問をされることが一般的です。しかし、その質問は新規事業を潰すためにあるようなキーワードなのです。
新しいことをやるときに将来のことは誰にもわかりません。それはマネジメントにとっても同じで、新規事業などの新しい取り組みにおいてはマネジメンでさえも意思決定の仕方がわからない、というのが事実ではないでしょうか?
企画書や提案書で数字を操作し言葉遊びをすることで、それらしく見せることは可能です。しかし実際は簡素なプロトタイプを作りトライ&エラーを繰り返した方が、何倍も早くプロジェクトが進みます。意思決定の仕方が分からなくなっているマネジメントにも、現場でプロトタイプを体験してもらうことが必要不可欠なのです。

「許可を得るより、許しを乞え」

新しいことをやるには、何よりもこのマインドセットが大切なのではないでしょうか。