Paulina Lopez
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MBA
ファミリービジネスの研究の歴史はまだ浅く、ビジネススクールにおいても取り扱われることは多くはありません。また大韓航空の「ナッツ・リターン」、大塚家具の「委任状争奪戦」、大王製紙の「カジノ賭博」など、お家騒動や企業の私物化といった負の側面がクローズアップされ、日本におけるファミリービジネスに対する評価は決して高いとはいえません。しかしながら近年、ファミリービジネスは非ファミリービジネスよりも業績が優れており、永続性も高いという報告が複数発表されています。また日本の約95%以上がファミリービジネスであるとの報告もあり、ファミリービジネスの研究に注目が集まっています。
この授業では、起業家(企業家)精神溢れるファミリービジネス経営者が変革を起こす複数のケースを用い、ファミリービジネスとは何か、ファミリービジネスが永続的に存続するためにはどのように経営されていくべきかを、議論を通じて学びを深めていきます。
『ファミリービジネスとは何か?』という問いは、我々を『会社は誰のものか?』という根源的な問いへと導いていきます。ビジネスパーソンの皆さんであれば、この問いを一度は考えたことがあるのではないでしょうか。一つの解として『会社は株主のもの』と考えることができます。しかし様々な業種、規模、成長フェーズ、資本構成の会社がある中で、これは唯一絶対の解と言えるのでしょうか?
多くの人はその理由を明確に提示できないにせよ、この解に対して感覚的にどこか違和感を感じるでのはないでしょうか。この授業では様々なステークホルダーの立場を整理・分析することで、この居所が掴めない『違和感』の正体を徐々に明らかにしていきます。
3日目の午後はマリオット・コーポレーションのケースを用いて、ファミリービジネスの永続性に必要な『倫理観』という側面から、この問題について考えていきます。
ケース中で創業家出身であるマリオットJr.取締役会会長兼社長は、取締役会に会社の事業再編を推薦するかどうかを決めなければならない状況にありました。しかし彼が検討している事業再編を進めるにあたり、各ステークホルダー間では利害対立が起きていました。例えば『株主を優先することで債権者が損失を被ることになる』という事実に対して、皆さんがこのマリオットJr.の立場であったらどのような意思決定を行うでしょうか?事業再編により様々な経済的メリットが享受できる状況下で、経済的な視点だけで意思決定を行うことに問題はないのでしょうか?また何らかの意思決定をした際、他のステークホルダーには短期・中長期の両軸でどのような影響を与えるのでしょうか?角谷先生は、自らファミリービジネスを事業承継し、現在二代目としてファミリービジネスの強みを活かした会社経営をされています。ファミリービジネスを実践する立場から、各ステークホルダーの利害対立が複雑に絡み合うファミリービジネス特有の課題を法的、倫理的、経済的な視点から解き明かしていきます。