「忘れられた使命:ビジネススクールは病んでいる」という記事が、実務家向けの論文集であるDiamond Harvard Business Review(2005)に掲載され、ビジネススクール関係者に衝撃を与えました。その趣旨は、当時のビジネススクールがMBAカリキュラムに「科学性」を追求しすぎる傾向にあることに対して警鐘を鳴らすことにありました。
ビジネススクールが科学性を追求してしまった背景には、その教員の採用・昇進プロセスの中で、重視される業績が「学術的(Academic)」卓越性に偏りすぎてしまい、その結果として「実務的(Professional)」および「教授法(Teaching)」に関する卓越性が過小評価されていた点にありました。
ビジネス・リーダーがビジネススクールに求めているのは、不十分な情報の下で意思決定を行う際の助けとなる視座・視点です。逆に言えば、あらゆる事実が揃っているのであれば、意思決定を下すことは比較的容易です。不確実な状況下でリスクをとって行動を起こすのが「リーダーシップ」と呼ばれるもので、これは特定領域の専門家が科学的アプローチで解説できる課題ではありません。
したがって、ビジネススクールはその教員全体の構成、また教員個人の業績に「科学性」と「実用性」のバランスが求められることになります。