フィナンシャルタイムズ(FT)によるMBAスクールランキングが発表されました。今年は「金融よりも起業」という流れが出ていると報道されています。背景には、高額な学費(教育投資)を回収するための年収を転職で得られる場が変化しているという事実。投資銀行、証券会社、といった管理職でなくとも成果報酬で高額の年俸を期待できる職場への転職に強いMBAスクールが選ばれてきました。
しかしながら、リーマンショック後「お金になれば何でもやるのか?」という企業倫理なき過度な報酬体系が問題視され、MBAホルダにとって短期的に高収入を獲得できる業務が減少しています。そのかわりに、ベンチャー関連のイノベーション事業が注目を受けています。ビジネススクールはこの動きに敏感で、5年ほど前からビジネスにおける「イノベーション教育」とは何かを研究し始め、従来型の管理職養成型のロジカルシンキングに加えて、企画提案型のクリエイティブシンキングのカリキュラムを充実し始める動きが出ています。
今回のフィナンシャルタイムズによるMBAランキングで注目すべきは「費用対効果」。費用対効果は年収上昇率/授業料に調整をかけた数値だと想定されますが、前回のEduniversalによるMBAランキングが教育内容を中心にしたランキングであるのに対し、今回は比較的短期間(3年間)の教育投資効果を中心としたランキングとして知られています。アジアではシンガポール、香港、といった英語圏の中で一部のMBAスクールが100位以内にランクインしていますが、日本では20-30代のMBAホルダに1,600万を超える高収入を約束できる環境にないので、ランクインは当分先かもしれません。
また、AACSBもしくはEQUISによる国際認証校のみがFTランキングの審査対象となる点も興味深い事実、日本のMBAスクールにとってハードルはさらに高くなりますが、20年前に比べれば日本のビジネス環境も大きく変化してきており、業種によってはMBAがフツウになる時代はもう近くまできています。
Rank | ビジネススクール | 修了3年後の平均年収(USD) | 費用対効果 |
1 | INSEAD | 166510 | 10 |
2 | ハーバードビジネススクール | 172501 | 82 |
3 | ロンドンビジネススクール | 154150 | 72 |
4 | ペンシルベニア大ウォートン | 177877 | 95 |
5 | スタンフォード大経営大学院 | 185939 | 83 |
6 | コロンビアビジネススクール | 169866 | 92 |
7 | カリフォルニア大バークレー校ハーススクールオブビジネス | 169395 | 69 |
8 | シカゴ大ブースビジネススクール | 158259 | 84 |
9 | MITスローン校 | 159909 | 96 |
10 | ケンブリッジ大ジャッジビジネススクール | 156323 | 4 |