リンテック㈱ 2012
アブストラクト
リンテック㈱は包装用ガムテープの製造・販売を起源とする、粘・接着製品、剥離紙・剥離フィルム、及びこれらに関連する機器を製造・販売するメーカーである。基本的な収益モデルは、サプライヤーから調達した原材料を、ウェットコーティングで基材に塗工し付加価値をつけユーザーへ販売する、というものである。昨今、電子部品の1つである「積層セラミックコンデンサ(以下、MLCC)」工程用フィルムの「コートフィルム」市場で世界No.1の地位を確立するに至っているが、顧客・競合他社・サプライヤー・消費者など、世界的な資本関係のもとで行う21世紀の事業活動において旧来型日本経営のスタイルを取り続けている事でその相対関係に苦しんでいる。本ケースは21世紀のグローバル市場において旧来型日本経営の素材メーカーが特殊技術を伸ばしていく企業として、成長し続けていくためのイノベーション経営要件を考察するものである。本ケースには、リンテック㈱の経営方針・組織の特徴・コートフィルム事業・MLCC市場、及び組織の価値観・文化と意思決定との関係性などを取り上げる。主人公は、明確な成長が見込まれる市場において、フォロワーのコスト戦略をリーダー戦略により真っ向から受けて立ち高シェアを確立するに至った。しかし、結果として低い利益率に苦しみ、事業全体の永続的成長を考えると他に取るべき戦略があったのではと顧みている旧来型日本的経営企業の価値観やグローバル企業の価値観などを考察し、旧来型日本的経営が21世紀のグローバル市場において大きな価値観の転換期に直面していると捉え、日系素材メーカーが旧来の日本社会内での交渉力バランスを転換しグローバル市場で利益を上げ続けるためのイノベーション経営要件を考察する。
詳細情報
ケースID | 12-1053 |
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登録 | 2012 |
業界 | その他の電子部品・デバイス・電子回路製造業 |
分析領域 | 総合経営 |
ページ数 | 23 |
言語 | Japanese |
ティーチングノート | あり |