アブストラクト
東京電力株式会社(以下、東電とする。)は、東北地方太平洋沖地震に伴う津波により福島第一・第二原子力発電所および太平洋沿岸の火力発電所が被害を受け、約2,100万kWの発電能力を喪失した(約5,200万kW→約3,100万kWへ)。その結果、2011年3月14日から営業エリア内の広い範囲で計画停電を実施せざるを得ない状況に追い込まれた。これまで電気の「安定供給」を経営の最も重要な使命のひとつとしてきたため、顧客は計画停電に対応することができず、企業においては業務や生産が停止し、家庭では照明・暖房が止まり、電車の運行や道路の信号機も停止する大混乱に陥った。空気や水と同様に途絶えるはずのない電気が停電したことの影響は大きく、東電に対する顧客の信頼は一挙に失墜した。一方、東電が負担しなければならない賠償額や廃炉費用がいまだに確定しない中で、会社の将来を悲観して退職する社員が続出し、まさに内憂外患の状況にある。このような状況の中で東電は、「再生への経営方針」「改革集中実施アクション・プラン」を公表し「新生東電」へ向けてスタートを切った。本ケースは、広く電力10社体制を再編成する場合の意思決定について、階層分析法を用いて意思決定するとともに、東電カスタマーサービスカンパニー内の1部門である法人営業部が採ろうとしている社外企業との戦略的提携関係を通して、組織のオープン化、企業ネットワーク間の競争に進化している現代企業の競争戦略の基本を考察する。
詳細情報
ケースID | 13-1007 |
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登録 | 2013 |
業界 | 電気業 |
分析領域 | 総合経営 |
ページ数 | 26 |
言語 | Japanese |
ティーチングノート | あり |