アブストラクト

株式会社サイトシーイングは、親会社であるシナネン株式会社の新規事業として、携帯電話・スマートフォン向け電子書籍制作・配信事業を行うことを目的とし設立された会社である。会社は、設立にあたって他の電子書籍配信会社及び出版社から既存の電子書籍配信サイトの運営権等の電子書籍制作・配信事業を譲り受けて事業をスタートしたが、当時の携帯電話市場は従来の携帯電話からスマートフォンへの移行時期であったことから、サイトシーイングにおいてもスマートフォン対応の電子書籍配信サイトを新たに立ち上げ、同サイトにおける営業に重点を置いて事業を展開したところ、既存サイトの顧客を新サイトの顧客としてスムーズに承継できなかったこともあり、会社の業績は設立以来、厳しい状況が続くこととなった。そして、設立以来、一度も営業黒字化したことのない会社は、これ以上事業を継続するのは困難と判断し、事業終了に至った。事業化を決定した山川社長、創業者である桜井、桜井を支援しようとしていた伊藤社長のそれぞれの思いを交えながら、サイトシーイングの事業を通じての現実の「学びの成果」を明らかにすることで、シナネンの持続的成長経営を行うための新規事業に対するアントレプレナー人材の育成・蓄積について考察するケースである。

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