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CS製薬株式会社 2016

#製薬 #グローバル展開 #マーケティング

アブストラクト

国内の医薬品市場は欧米の先進諸国と比較しても顕著な伸びを示してきたが、経済が長期間低迷状態を続け、財政事情も厳しさを増している状況下において医療費抑制策が導入されるのを避けて通れなくなってきた。また、医薬品に対する社会的ニーズは多様化し、新薬開発の難易度が高まる中、これまで以上に経営資源を有効活用することが求められている。このような現状において、製薬企業各社は大手企業を中心に開発の主体を生活習慣病治療薬から抗がん剤や認知症治療薬などのスペシャリティ医薬品開発に移行している。しかしながら、各製薬企業の売上構成をみると、特にメガファーマでは依然として生活習慣病治療薬の割合が大きく、直近の売上確保のために注力している状況にある。ヨハン製薬株式会社は、イタリアのローマを本拠地とするヨハンホールディングスの日本法人であり、医療用医薬品、医療機器、用具およびコンタクトレンズ、レンズケア製品を取り扱っている企業である。これまで自社創薬し販売、企業買収、合併などによって規模を拡大させてきた。現在の主な製品群としては、高血圧治療薬、代謝系治療薬、呼吸器系治療薬、中枢神経系治療薬、免疫炎症系治療薬、悪性腫瘍治療薬などさまざまな領域の医療用医薬品を創薬し販売している。ケースの主人公である山野は、ケース時点の約1年前に糖尿病マーケティンググループに配属された。D阻害薬のダルビーと、2015年12月に発売したダルトメ配合剤が担当製品である。マーケティングの経験は浅く、日々学びながら実務をこなしている状況であるが、競合の激しい糖尿病領域で自社製品を最大化させるべく試行錯誤を繰り返していた。ヨハン製薬は、主力製品である高血圧治療薬のサルタンや消化管間質腫瘍治療薬のマチニブは特許切れによって著しく売上高が減少しているが、ダルビーなどの新製品がカバーし、売上高をなんとか維持させている状況であった。国内における糖尿病の医薬品市場は、生活習慣と社会環境の変化に伴って急速に拡大している状況にある。糖尿病はひとたび発症すると治癒することはなく、放置すると網膜症・腎症・神経障害などの合併症を引き起こし、末期には失明してしまう場合もあり、血液透析の治療が必要となることもある。さらに、糖尿病は脳卒中、虚血性心疾患などの心血管疾患の発症・進展を促進することも知られている。これらの合併症は患者の日常生活を著しく低下させるのみでなく、医療経済的にも大きな負担を社会に強いており、今後も社会の高齢化にしたがって増大するものと考えられる。糖尿病の病型は、1型糖尿病、2型糖尿病、その他、妊娠糖尿病に大別できる。糖尿病の発症要因としては、遺伝的要因と環境要因が重要であるが、特に2型糖尿病では生活習慣が環境因子として重要である。我が国の糖尿病の約95%をしめるのが2型糖尿病であり、対策として発症の予防、早期発見、合併症の予防が重要である。これらから、複数の製薬企業が糖尿病領域を重要な市場ととらえ、研究開発費に多額の資金を投入している。本ケースでは、ヨハン製薬生活習慣病事業部の糖尿病マーケティンググループが自社製品をどのように最大化させようと考えているのかを論じている。また、他の薬剤での経験をどのように活かし、展開していくのかを記述している。

詳細情報

ケースID 16-1007
登録 2016
業界 医薬品製造業
分析領域 マーケティング
ページ数 21
言語 Japanese
ティーチングノート あり