Paulina Lopez
- 体験談
- #MBA
- #Global
READ MORE
MBA
名古屋校では換気・ソーシャルディスタンスを守り、ウイルス感染対策を徹底した上で、2020年度秋学期より対面での授業が運営されています。今回は、角谷直樹先生による「Entrepreneurship & Family Business」をご紹介します。
この授業では、起業家(企業家)精神溢れるファミリービジネス経営者が変革を起こす複数のケースを用い、ファミリービジネスとは何か、ファミリービジネスが永続的に存続するためにはどのように経営されていくべきかを、議論を通じて学びを深めていきます。
授業1日目の午後には、松井証券を題材としたケースを使用し、ファミリービジネスに関する基礎知識を土台に、ファミリービジネスの強みとは何かについて学んでいきました。社長の娘婿として松井証券に入社した松井道夫は、伝統的な中規模証券会社であった同社を日本を代表とするオンライン証券会社へと変革させていきました。どのようにしてビジネスモデルを再構築し、企業文化を変革していったのか。なぜそれが可能だったのかを分析していくことで、ファミリービジネスの強さとその源泉について理解を深めていきました。さらに、午前に取り上げた(株)林原が、大手食品メーカーでも成し得なかった独創的な製品開発を実現させ『同族企業の雄』として持ち上げられていたにもかかわらず、不正会計が発覚し破綻に追い込まれてしまった一因に、事業承継が挙げられたことを再確認したうえで、大きな変革を遂げた2つのファミリービジネスにおける事業承継プロセスを比較しながら、その要諦が議論されました。最後に松井道夫の次も松井家が継いでいくべきかどうかの討議がなされ、能力のある息子、最適な人材のヘッドハンティング等の意見が受講生から出る中、角谷直樹先生の「社内の生え抜きに、息子以上の人材が居たら?」という問いに、受講生の言葉が詰まる場面がありました。公的な側面を有する上場ファミリービジネスがファミリービジネス特有の強みを活かし続けるために事業承継はどうあるべきか、創業家に生まれ落ちた人間は事業に関わり継続させていく責任を負っているのか、全てを言葉にできないものの、深く思いを巡らす時間が流れました。
株式会社角屋食品代表取締役、農学博士、経営学修士(MBA)。
2005年神戸大学大学院博士課程早期修了。1年間の大学勤務を経て、味の素株式会社に入社。2015年名古屋商科大学ビジネススクール早期修了(2014年度成績優良学生、Case Award受賞)。同年、味の素を退職し、角屋食品に入社。翌年より代表取締役を務める。ファミリービジネス、中小企業経営だけでなく企業倫理、道徳哲学、経営哲学に関心を持ち研究を進める。実務では事業承継後、生産体制からマーケティングまで、経済合理的な視点からすべてを見直し効率化と差別化を進める。他方、会社に求められる定言的(無条件的)な道徳的義務にも意識を向け、“ヒトの顔が見える”地方中小企業のあるべき経営を模索する。2016年より名古屋商科大学ビジネススクール客員講師を務める(2019年度Teaching Award受賞)。