幹部候補として有望な人材がMBAを取得して転職してしまった、と嘆く人事部長の方とお話ししたことがあります。この転職談は30年前に海外MBAへの派遣を行った際の出来事で、どうやらMBA取得後に日本に帰国した際、社内に居場所をなくしてしまったのが原因のようでした。まだ当時は国内ではMBAが珍しく、周囲もMBAの価値や意義を正当に評価することができかった時代の出来事です。
今や国内MBAも盛んになり、それほど珍しい存在ではなくなってきた今、中途採用枠に「MBA」を明示する起業やMBA専用の転職サイト、社員MBA研修制度など、企業とビジネススクールとの距離感は大分身近なものとなってきました。本題に戻りますが、MBA取得が転職に不利に働くことは考えられませんし、MBA参加当初は転職なんて意識してはいなかったが、在学中や卒業後にヘッドハンティングから転職を誘われた方は多くお見かけします。
事実、オーナー系上場企業の社長に抜擢された若手の修了生もおみえですし、役員クラスに抜擢された方々も多くおられますが、転職市場が「MBA」を高く評価したというよりも、あえて自分自身に課題を課して自己投資している姿に採用担当者が価値を見出したものと考えています。と同時に「MBAホルダーならこれ位の成果は...」と周囲の期待値は上がります。したがって苦労せずにMBAを取得すると、後で後悔することになりますので参加者は皆真剣です。「無駄な努力はない」この言葉をMBA卒業生が熱っぽく語っていたのが今でも忘れられません。
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