書籍や雑誌などで時々話題になる「アンチMBA」の話題。MBAホルダによる失敗体験など、興味深い記事とともに、MBA教育に対する批判的な主張には一部共感するところがあります。というのもビジネススクールでは、3C、4P、5F、6sigma、SWOT、EVA、などフレームワークと呼ばれる経営理論を学ぶことはできますが、それらの理論は、ビジネスを成功へ導く「道」や「鍵」は教えてくれません。言い換えれば、フレームワークとはビジネスを俯瞰的に見渡す「メガネ」という道具であり、それらの道具を一式揃えることをMBAを目指すゴールとして捉える事は避けるべきです。
書店のビジネス書コーナーには世界中のビジネススクールの教員によって、開発されたフレームワーク(メガネ)が陳列されていることからわかるように、結局のところ万能な究極のメガネは存在しないのです。究極のメガネが存在しないのであれば、いかに多くのメガネを持っているかを競ったところで、言い換えればメガネコレクターになる事がビジネスで成功する秘訣になるとは思えません。
むしろ、MBA教育から学位としての価値を取り除いた場合、一体何が付加価値として残るのか。ビジネススクールにかかわる人間はこの本質的な問いに関心を持たなければなりません。MBAとは「未来への自己投資」、MBA取得という目標の下で「どう成長したいのか?」この思いが欠けていると、アンチMBA議論の標的になってしまうのです。