欧米のビジネススクールでは学位としてのMBAプログラムと並んで、管理職育成プログラムが人気を博しています。この管理職育成とは、経営管理を体系的に学び学位としてのEMBAやMBAを取得することを目的とするのではなく、企業や参加者のニーズに合わせて特定領域の能力を短期間で高めることを目的としています。
この管理職育成において最も人気の領域は「リーダーシップ」であることが多く、多くの欧米ビジネススクールはこのリーダーシップ領域に関する科目やプログラムを階層別もしくは産業別に充実させています。国内ではまだ馴染みが薄いかもしれませんが、MBA教育が浸透するにつれてそのエッセンスを幹部候補選抜/育成に活用したいという企業に受け入れられています。
管理職研修
Executive Education
なぜMBA流の管理職研修が必要なのか?
企業内研修は主に従業員の能力を継続的に向上させることを目的として階層別に実施されることが一般的です。そして、役職者を対象とした「管理職研修」にはマネジメント研修とリーダー研修の2種類が存在します。両者の違いは以下に示されますが「リーダー研修」こそがまさにMBA教育に通じるものが多いのです。
マネジメント研修 | リーダー研修 | |
主たるテーマ | 課題解決 | 課題発見 |
研修目的 | 経営管理能力 | リーダーシップ力 |
研修手法 | 講義形式 | 討議形式 |
高める能力 | スキル | 姿勢 |
名商大ビジネススクールが提供する管理職研修(Executive Education)は以下の3種類が存在します。
- Corporate MBA(総合型)
- Topic-driven Program(特化型)
- Open Enrollment Programs(集合型)
Corporate MBA(総合型)とは?
Corporate MBAとは、名商大ビジネススクールが提供する企業や組織内で実施される幹部育成教育です。ハーバード流のケースメソッドにより、幹部候補のビジネススキルやリーダーシップ能力を向上させることを目的としています。この企業内MBAは、従業員が仕事を続けながらトリプル認証を受けたMBAに裏打ちされた経営教育を受けることができるという点が特徴です。MBAの基礎科目(5科目程度)とあわせてケースライティングを通じて自社の課題と深く向き合うプロジェクトを提供します。
Topic-driven Program(特化型)とは?
Topic-driven Trainingとは、法人対象とした特定の領域に焦点を当てた研修を指します。企業が今抱えている課題や目的、育成したい人材像に応じた研修コンテンツと実務経験豊富な教員をご提案。既に4,000名を超える多くのビジネスエリートに支持されてきたMBAプログラムから必要なエッセンスをアレンジ。大きく分けて「マネジメント人材育成タイプ」「新規事業開発タイプ」「異業種交流タイプ」の3タイプに分類されます。
Open Enrollment Program(集合型)とは?
Topic-driven Trainingとは、入学審査を必要としない管理職教育となります。上記の研修とは異なり、異業種・異国籍からの参加者とともにケースメソッドで学ぶことで、リーダーに必要な視野と視座を高める機会となります。
ケースメソッドMBAが提供する管理職研修の魅力
単なる知識やノウハウの提供ではなく、正解のない現実課題においてリーダーシップ発揮するための教育を行うのが「ケースメソッドMBA」。以下にケースメソッド企業研修の魅力をご紹介します。
登場人物の悩みを追体験する討議
今、現実に抱える課題そのものを深く考えると、情報過多もしくは制約条件の多さで視野を広げることができないものです。ケースメソッドは一見異なる事象を追体験するのですが、その背景に存在する課題の本質は自社にも共通する点が多いのです。ケースメソッドは同じ参加者でも得るものは(Takeaway)は、その人の経験や立場によって異なるのが大きな特徴といえるでしょう。
研修内容はカスタマイズすべきか否か?
よく企業内研修の担当者との打ち合わせにおいて、自社が直面する業界特性や企業特性に合わせたカスタマイズの可否に関する話題になります。研修の目的が管理職がリーダーシップを高めるために「視野を広げる」あるいは「視座を高める」、といった現状からのストレッチを目的としている場合は、標準的なMBA教育のコンテンツを活用する方が効果的な場合が多いのが実情です。あまり、現実課題に焦点を当てすぎると制約条件ばかりを意識しすぎる結果になりがちです。むしろ、研修で議論されたケースの内容が自社のどの要素に類似しているのか?を内省するセッションを提供することが重要と考えています。
研修場所は自社会議室?それとも外部会場?
役員研修のための教室環境は、研修目的を達成しやすいような動線で作り込まれた専用施設が存在します。MBA教室はその典型例となりますが、研修目的によって他の選択肢を検討することも可能です。もし自社の課題に深く踏み込むような議論を行うのであれば、少し客観的な視点を得るためにも外部会場をお勧めいたします。一方で業界を越えた広い視野を自社に持ち込みたい場合は、自社会議室も魅力的な選択肢になり得ます。
研修講師に最適なのは実務家?それとも研究者?
管理職研修としての研修内容を単なるスキルや専門知識の習得にとどめないためにも、両方の要素を研修のなかで組み合わせることをお勧めいたします。特に上級管理職として、全社戦略・企業倫理・事業承継といった抽象度の高い課題を扱う様な場合には、国際的・長期的・包括的な視点での知見が求められますので、研究実績のある研修講師を組み合わせることをお勧めいたします。
研修方法としてのビデオ視聴形式は有効か?
一般的に研修を目的とした教育には3種類の要素が考えられます。知識、スキル、姿勢です。もし、知識(Knowledge)の習得を目的とするのであれば、ビデオ視聴形式が有力な選択肢となるでしょう。現在であれば、再生回数、再生場所、頻度など、細部にわたり実態を把握することが可能になっています。しかしながら、姿勢(Attitude)の高度化を目的とするのであれば、対面型研修とを推奨いたします。
- Knowledge to Know
- Skill to Do
- Attitude to Be
一見、非効率に感じるかもしれませんが、ROIを考えるのであれば、講師も参加者も互いの微妙な表情の変化を汲み取りながら討論を行うことが容易な対面研修に軍配があがります。
研修方法としてのオンラインは有効か?
一般論としては有効です。しかしながら、参加者・講師ともに高い水準の集中力と表現力が求められます。要は全ての要素においてハードルが高まりますので、完全オンラインは可能であれば避けた方が満足度は高まるでしょう。