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《連載コラム》部長を辞めて教授になったMBA⑰:「おりこうちゃん」では生き抜けない

外資「すごろくゲーム」
帰国後、おおよそ8年にわたり米国の外資系IT会社の日本法人を、「すごろくゲーム」のように渡り歩きます。それはまさに激動の日々です。外資と一言でいっても、種類はいろいろです。私が過ごしたIT系の外資では、米国系とヨーロッパ系の2種類が職場文化の違いという点でよく対比されます。簡単に言うと、社内競争をパワーの源泉とする米国系と、家庭的な雰囲気のヨーロッパ系です。最近はこれに加えて中国系も増えてきました。社内の雰囲気はというと、短期的に結果を求められる米国系に対し、ヨーロッパ系はややゆったりとしているようです。ヨーロッパ系は日本企業に近いかも知れません。給料はというと、出来高(コミッション)の割合が大きいため、米国系の方が変動が激しいという傾向があるようです。

日本の会社の優等生
外資系の仕事の進め方は、日本の会社のそれとはかなり異なります。それは実際に自分がそこに身を置いて働いてみて初めて分かりました。日本の会社で働いていた頃は組織の中では調和が重んじられ、序列が重要でした。端的に表現すると「出る杭は打たれる」です。平社員は係長の指示で動き、係長は課長の指示で動き、課長は部長の指示で動くという感じです。ピラミッド型階層組織です。自分の創意工夫は大切ですが、かならず上司の意向に沿うものでなければなりません。上司の思考の先回りをして、それをサポートすると良い評価が与えられるのです。野球で言うと、チームのために送りバントを命ぜられたバッターは、仮に絶好球がきてもバットを持ち直して、フルスイングなどしてはいけません。運よくタイムリーヒットになったとしてもです。

外資系の仕事の進め方
これに対し、外資系は調和より自分の考えを前面に出すことが大切です。端的に表現すると「出ない杭は腐る」です。逐一上司の指示などありませんし、不要です。そこでは先輩も後輩もなく、自分を中心に仕事の渦(うず)を創っていくようなやり方です。仕事は誰か上司のためではなくて、自分のため、自分の実現したいようにするためにするという考え方に近いのです。日本の会社に多い精神修養のような哲学教育もありません。いちど外資系の仕事に慣れてしまうと、もう日本企業型のマネジメントスタイルの下で働くことが難しくなってしまいます。良くも悪くも自由度が大きいので、自分で自分をマネジメントする割合が大きいからです。バントをするのも、フルスイングをするのもチームが勝てれば良しとされるのです。

そして面白いことに、日本の会社での「おりこうちゃん」的な優等生は、外資の環境では劣等生に変わってしまうことが多々あります。当時、周りを見回してみると日本の一流と言われるような大企業で長い間、しっかりとした組織で常に上司の指示を仰いで昇進してきたような「おりこうちゃん」タイプ(日本企業内では優秀と呼ばれている)の人が、半年で辞めてしまうことが幾度かありました。外資特有の、自分で仕事を創って渦の中心に周りの人を巻き込んで行くような仕事のスタイルには、慣れていないことが原因のような気がします。

以前、MBAは適応能力と書きました。そういう意味では、日本の会社も外資系も両方に適応できる能力を身に着けられると思います。しかし、海外(特に米国)のMBAや、そのスタイルをベースにしているような国内のMBA(国際認証等を保有している世界レベルのビジネススクール)を取得した人は、外資(特に米国系)の会社が向いていると感じます。それは、授業スタイルやプロジェクト遂行のスタイルが、外資系の会社の雰囲気にそのままマッチし易いからです。続きは次回のコラムにて。To be continued. Stay Tuned…

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