部長を辞めて教授になったMBAの連載コラムもちょうど折り返し地点(半分)にさしかかったので、しばらくは別のことを書きたいと思います。今回は黒澤明の「七人の侍」です。世界的に有名な数少ない日本映画と言われていますが、私がこの映画を見たきっかけは、豪州留学中の大学院の図書館の棚に見つけたからでした。唯一の日本語の映画(英語字幕)でした。
武力を持たない、また刀の使い方の訓練を受けていない非戦闘員である百姓が、自分たちが雇用した7人の侍のアドバイスを受けて、落ち武者(野武士)の賊行為から自分たちの村を守るというストーリーです。映画の中で展開される活劇の迫力と激しさは、凡百のアクション映画の比ではありません。
結論から言えば、烏合の衆の百姓と7人の侍のハイブリッドチームは、おおよそ30騎もの落ち武者の野武士賊集団を村で迎え撃ち、4人の侍と多くの百姓の犠牲を出しながらも、最終的には撃退するのですが、そのプロセスがかなりMBA的かつ戦略的で面白いのです。力の弱いものが強いものに勝つストーリーは「戦略」以外の何物でもありません。映画の中では戦略レベル、戦術レベルで多くの知見を得られます。
①先制攻撃の優位性
②用意周到な陣地の整備と戦闘ポイントの限定
③「敵を知り、己は知らさず」という情報操作
④敵の兵の少数と味方の多数が対決する仕組みの構築
⑤敵の兵力の分散と離反を促す心理操作
⑥戦いの時(タイミング)の洞察力
⑦一刻一撃の組織求心力
前編と後編に分かれて200分超にもわたる大作。「今度も負け戦。勝ったのはあの百姓。わしたちではない。」勘兵衛の最後の印象的なセリフです。続きは次回のコラムにて。To be continued. Stay Tuned…
よく読まれている記事
-
MBA取得方法《MBAとMSc》
- #MBA取得方法
- #MBA
- #MSc
MBA取得を考える上で忘れてはいけないのが出願資格です。この資格とは「学歴」と「職歴」を指しており、出願資格さえクリアできれば残るは入学試験です。入学試験の多くは書類審査と面接試験になり(海外MBAの場...
READ MORE
-
ケースメソッドの魅力
- #ハーバード
- #ケースメソッド
- #ケース
ケースメソッド《Case Method》とは1921年にハーバードビジネススクールで使用されたボストンの靴工場のケース『General Shoe Company』を起源とし、日本国内では「ハーバード白熱教室」で日本でも一躍有名になっ...
READ MORE
-
オンラインMBAとは?《誤解と期待》
- #MBA
- #オンライン
- #通信
オンラインMBA、通信MBA、遠隔MBA、またブレンドMBAなど新しい種類のMBAが次々と誕生していますが、欧米のビジネススクールでは「オンラインMBA」と呼ばれ、かの有名なFinancial TimesのMBAランキングにも「オン...
READ MORE
-
MBAの費用と価値
- #MBA
- #費用
- #価値
- #転職
国内でMBAを取得するための費用は年間100万円から300万円まで幅広く設定されており、誰もが安易にチャレンジできるものではありません。しかしながら、海外MBAの場合は地域的に大きな差があるため一概にはいえま...
READ MORE
-
MBAの難易度とは?《入学編》
- #MBA
- #難易度
- #試験
MBAの入学説明会で質問される内容は「MBAの難易度」です。MBAの難易度は「入学試験」と「単位取得」の困難さが考えられますので、今回は入学試験の難易度にフォーカスして説明いたします。まず、MBAの入学試験に...
READ MORE