本日のAACSBの基調講演はBBCのTVプロデューサーであり、企業経営者であるマーガレット・ヘファーナンによるものでした。彼女は「見て見ぬふりをする社会」の著者であり、TEDスピーカーの一人です。今回はビジネススクールが育成している「リーダー」とはどうあるべきかについての話題でした。
MBA教育でよく出てくる「組織経営」はしばしば、抜きん出た最も優秀な従業員を重用する「スーパーチキン方式《TED Women 2015》」に従って行われますが、これは最も業績を上げるチームを動かす経営方法ではないとの事。彼女の観察によれば、コーヒー休憩中や、チーム間で助けを求める機会があるごとに築かれる社会的な連帯性こそが、いずれは大きな成果をもたらすとの事。最高の結果を出そうと私たちを駆り立てるものは何なのか、リーダーとは何を意味するかを抜本的に再考する必要がありそうです。
「助け合い」という言葉は正直言って頼りなく聞こえますが、助け合いこそが成功を収めるチームの核心であり、助け合いの方が個人の知力に勝るのです。職場における社会性の真価に気がつけば必然的に多くが変化するのです。才能を競わせるような企業経営は決まって社員間の対立を招く。これからは競争心を社会資本に置き換える必要があるという主張です。というのもアイディアを生むのは企業ではなく、人だからです。
百年以上もの間私たちは人を金銭で動かしてきました。金銭で社会的関係が損なわれるという結果を膨大な数の研究が示してきたにも関わらずです。そしてMBAに代表されるリーダーは長年、難題を全て独力で解決する「孤高の英雄」と考えられてきましたが、今やリーダーシップを再定義する時期にきているのです。リーダーシップとは、環境条件を整えて全員が一丸となって大胆に思考を巡らすことが出来るように行動する事です。