5/10はビジネススクールにとって大きな意味を持つ日でした。それは宇宙人が初めてMBAを取得した日でもなく、南極で「新興市場ビジネス」の授業が行われた日でもありません。ハーバードビジネススクールの教授会で「ケースメソッド(確か原文ではCase System)」が正式に教授法として確立された日(1922/5/10)です。議論を通じて理解を深め行動を促す、こんな当たり前・・と思われるかもしれませんが、いざ教室内で実践するとその奥の深さと難しさにハマってしまいます。ケースメソッドで教育を行うための「マニュアル」的なものも存在しなくもないですが、まずは「授業と講義と討議」この3つを正確に使い分けていくことが重要です。
えっつ、授業と講義って違うの(汗)?と思われるかもしませんが、それは「ターボ」と「スーパーチャージャー」の違いの如く異なります。このあたりの解説は時間がかかるので後に回しますが、まずケースメソッドにおいては「授業=討議+講義」という図式が成立しています。
授業=討議+講義
「討議」とはディスカッションであり、ケースを題材にした議論よってどこまで深い所まで到達できるかは、参加者や教師の経験値に依存します。そしてケースはあくまで個別事案なので、俯瞰的・学術的な視点で討議を補足する「講義」が存在します、配布資料などを使いながら授業を締めくくる部分です。また授業に先立ってグループ単位で議論する時間も存在します。ここではケースに関する判断や結論を出すのではなく、自由な意見を出し合う少人数の「準備」です。重要なのは授業に占める討議の割合。質の高い討議にどれだけ時間を費やすことが出来るかは教師の腕次第ですが、私が目標に掲げているのは、準備10%+討議60%+講義30%です。