MBAと中小企業診断士の違いとは何かを理解することはとても重要なことであります。中小企業診断士の試験科目にはマーケティング、財務、会計、そして人事などMBAのカリキュラムに見かけるような学修内容が課せられているため、時として同一視するような記事も見かけますので、今回はMBAと中小企業診断士の共通点と相違点を中心に解説してみたいと思います。
MBAと中小企業診断士の相違点
MBAとは「学校教育法」に基づく経営学に関する修士号としての学位であり、経歴書に記載する場合には「学歴」に記載するもので、一方の中小企業診断士は「中小企業支援法」に基づく国家資格となり、履歴書には「資格」に記載する性質という点がまず制度的な相違点となります。そして取得にあたっては前者は、大学院に進学して卒業に必要な単位を取得するのに対し、後者は1次試験(合格率2割)と2次試験(合格率2割)に合格する必要があり、取得後も5年ごとに登録の更新が必要となる点も大きく異なります。
カリキュラム面での相違点を挙げればキリがないので、ここではあえて触れませんが、MBAの学修にはそもそも正解がない経営者のジレンマ(例えば、先行きが怪しそうなプロジェクトをそのまま進めるか否かを問うような課題設定)を扱うことが多く、中小企業診断士の学修はコンサルティングを行うための資格である以上、正誤を問うような知識ベースのものが多く含まれています。
MBAと中小企業診断士の共通点
両者ともに弁護士、会計士、そして医師のような「業務独占資格」ではありませんが、経営の品質を高めようとする点において共通しています。MBAは理論主導型で中小企業診断士は現場主導型だという主張もどこかで見たことがありますが、近年のMBA教育はフィールドワークやプロジェクト演習といった教室外での課題が強化され、一方の中小企業診断士のカリキュラムも国際化の遅れを取り戻そうとする動きにあり、両者ともに常に実際の企業の課題に対応させようとする動きにあります。