結論としては不要です。なぜなら学術論文とは、研究者同士が学術的に厳密な議論を行うための表現手法であり、そのための特殊な表現手法を実務家が体得する必要性は低いのです。確かに、高度かつ厳格な表現が求められる法務の世界では学術論文が裁判という実務で引用されることもありますが、企業の経営会議で最新の経営学の論文が引用される場面は稀でしょう。
上司から以下の様な指摘を受ける場合は別として、実務家がその実務において学術論文を引用/執筆する必要がない限り、MBA教育において研究論文を書き上げる必要性はないのです。
- この企画書は特定の製品市場における興味深い考察を含んでいるが、引用論文が不足しており議論の独自性の根拠が明らかにされていない。
- この報告書は市場における幾つかの重要な測定を報告しているように見えるが、問題の展開が限定的であり発見に対する考察も不十分である。
事実、MBA本場の欧米では「修士論文」をMBAの修了課題として課すのではなく、特定課題研究といったプロジェクト(キャップストーン)を課すことの方が多いのが現状です。因みに将来、研究者(大学教員)を目指すのであれば、MBA以外にもMScと呼ばれる修士課程(実務経験不要)に進学して修士論文を作成することを検討してみて下さい。
取得学位 | 教育課程 | 標準修了 | 修了課題 | 教育目的 |
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MBA | 修士課程 | 2年 | 特定課題研究 | 実務家養成 |
MSc in Management | 修士課程 | 2年 | 修士論文 | 研究者養成 |