大学時代の成績と大学院受験の関係性の話の前に、まずMBAとは「修士(経営学)」もしくは「経営学修士」という学位となりますので、MBAプログラムに参加する条件としては「大学」の卒業が不可欠の条件となります。4年制大学卒業以外のケースとして多く質問されるのが「短期大学」卒業のケース。この場合は大学と短大の在籍期間の差分としての2年間を実務経験など別の要素で置き換えることをしている大学が多いのが現状です。さて本題としての大学で取得した単位の成績(優・良・可・不可)はどう影響するかという点ですが、今日、多くの大学はGPA(Grade Point Average)という取得単位の成績を数値化する制度を採用しています。
GPAとは何か?
国内外を問わずビジネススクールの受験書類には必ず大学時代の成績表が求められます。そこには大学時代に「履修登録」したすべての科目の一覧と、それぞれの単位の取得状況(成績評価)が記されており、4年間を通しての総合評価をGPA(Grade Point Average)と呼ばれる数値で表現しています。一般的な計算方法はAが最高で4ポイント、Bが3ポイント、Cが2ポイント、Dが1ポイント、F(不可)が0ポイントの5段階評価です(大学によっては欠席過多の不完全履修に「-1」を与える場合もあります)。
国内ビジネススクールの場合
文部科学省は「単位認定の厳格化」の流れでGPAの導入を推進している段階であり、導入率は70%近いとはいえ、完全には浸透してはいないのが現状です。また、GPAの運用そのものが各大学の独自基準にまかされており、国内大学のGPAの数値が同じ意味を示している保証がないのが残念な点です。一例として、GPAは5段階評価であるにもかかわらず、国内では、優、良、可、不可、の4段階方式を採用する大学が多く、優を4と換算するか、それとも3とみなすかでGPAが1.00以上変化するという事態に発展します。また、単位を落とした科目をGPAの計算対象とするか否かによってもGPAは大きく変化します。ちなみに海外の大学では「不可」の単位も計算対象としますので、必要以上に科目を履修すると単位を落として、GPAが低下して奨学金の停止、留年、退学勧告・・など大変なことになります。
海外ビジネススクールの場合
海外では大学時代の成績はGPAとして換算され、進級、卒業、就職に影響する数値であるため大学生はとても意識しています。米国ではビジネススクールへの進学においてはGMATとともに足切りとして利用されることになる数値であり、その目安は下表の通りであると報告(Source: Poets&Quants analysis)されています。一方で欧州のビジネススクールは米国ほど厳格には運用されておらず、一般論としてはGPAよりもGMATが重視されていると感じます。また、欧州は国によって教育制度が異なるので重視する項目がビジネススクールによって異なることも多く、EMBAプログラムの場合は実務経験(特に管理職経験の部分)の内容を重視することも珍しくありません。
ビジネススクール | 2014 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010 | Trend |
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1. Stanford GSB | 3.74 | 3.73 | 3.69 | 3.70 | 3.69 | +.05 |
2. Harvard Business School | 3.67 | 3.70 | 3.67 | 3.66 | 3.67 | |
3. Penn (Wharton) | 3.60 | 3.60 | 3.60 | 3.56 | 3.50 | +.10 |
4. Chicago (Booth) | 3.60 | 3.58 | 3.52 | 3.52 | 3.52 | +.08 |
5. Columbia Business School | 3.50 | 3.50 | 3.50 | 3.50 | 3.50 | |
6. Northwestern (Kellogg) | 3.60 | 3.54 | 3.69 | 3.54 | 3.52 | +.08 |
7. MIT (Sloan) | 3.58 | 3.58 | 3.53 | 3.51 | 3.57 | +.01 |
8. Dartmouth (Tuck) | 3.54 | 3.53 | 3.49 | 3.52 | 3.50 | +.04 |
9. Duke (Fuqua) | 3.43 | 3.42 | 3.42 | 3.44 | 3.40 | +.03 |
10. UC-Berkeley (Haas) | 3.62 | 3.60 | 3.61 | 3.64 | 3.63 | -.01 |