上智大学で物理学を教える兄は、白と茶色の、いわゆるトラ猫を飼っています。先般、このトラ猫の写真をディープラーニング中のAIに識別させた結果をセミナーで話したそうです。
果たしてAIの認識結果は・・・「ゴールデンレトリーバー」。確かに兄のトラ猫は、ネコとしては大きい方ですが、さすがにこれには苦笑してしまいました。
一方、私が飼っているクリーム色のポメラニアンは、「スピッツ」。かなりいい線を行っています。 よく言われる通り、将来的にはかなりの仕事が機械に置き換えられます。今はまだ、高校までのしっかりした教育で培われた事務能力がモノを言う職業が多く存在します。だからこそ、日本の入学した大学名が重要という“入学歴”社会は、機能しているわけです。
しかし、クラリカルな仕事が機械化された後は、専門性や創造性の高さが一層求められるようになります。そうした人材の育成には、現在以上の高度な教育が求められることから、大学に加え、MBAを始めとする大学院教育の重要性も一層高まると思われます。
現在、大学教育の質の向上や、その評価をどうするか、などが政府で議論されています。これらによって、大学への補助金も変わり、ひいては、大学の再編統合を促すことにもなる、非常に重要な議論です。
まだ方向性は明確ではありませんが、その議論では、現在ではなく、将来の職業の構造変化を見据えた人材育成を念頭において欲しいものです。AIは、ポメラニアンをスピッツと認識する程度には進化しています。職業の変化まで残された時間も意外と少ないのかもしれません。