「デザイン思考」という書籍が最近よく目にするようになりました。MBAの教室でもデザインコンサルティングを実践するかの有名な「IDEO」のケースはよく使用されます。IDEOのCEOのティムブラウンによるとデザイン思考の実践課程においては「自身がビジネスのプロセスに参加する」ことが出来重要であり、顧客行動や業務プロセスの観察を通じて「人を理解する」ことこそが第一歩となります。
では、第二歩は?となりますね。「デザイン思考」とほぼセットで使用される言葉が「アジャイル開発」という単語、これは従来の「ウォーターフォール開発」と呼ばれる、設計>開発>試作>完成、という製品開発プロセスに対応する形で使われていますが、実は双方ともに行なっていることは同じです。異なるのは「完成」という言葉の持つ意味です。
試作品の方が完成品よりも完成度が高いとも揶揄されがちな完璧主義のモノづくりに適した「ウォーターフォール型」に対し、試作を経て取り敢えず使用に耐えるレベルでの完成品を市場に投入しながら、同時に開発を並行して完成度を高める「アジャイル型」。前者の利点は時間をかけて開発者の理念や技術をより高いレベルで結晶化した製品を追求する一方で、後者の利点は市場のリアクションを観察しながら開発の方向性を軌道修正していくのです。
どっちがいいのか?そりゃ決まっていますよね、どっちもアリです。組み合わせれば良いだけのことです。さあ、来年のテーマは「ものづくりMBA」です!
製品開発の変革
製品開発の現場では、試作工程を極力少なくしようとするインセンティブが働き、少しでも製品開発全体を効率化するためにデジタルツールを使用して設計、解析が行われてきました。特にモノづくりの場合、製品の性能や安全性を検証するために作成する試作品の制作にかかる時間コスト(特に金型)がとんでもなく大きい点が製品開発上のボトルネックでした。これも近年の3Dプリンタの普及で大きく変化し、モノづくりでもアジャイル開発が現実的になってきています。