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《連載コラム》部長を辞めて教授になったMBA⑦:上司は自分で選ぶ時代

今の会社や上司が一生を保証してくれる訳ではない
「加藤くん、実は予め耳に入れておきたいんだが、今後の6月の辞令発表で、君の名前は無いようなんだ」・・・。「どうしてですか?」私はかなり気が動転して杉山さんに言い寄りました。杉山さんは、少しためらったような素振りを見せながら、同時に私に同情の気持ちを込めて話し始めました。「実は、不思議に思って、過去の人事評価を見てみたんだが・・・。」「とても悪い評価が付いている時期がひとつあって・・・、」この時、私の頭には過去の様々な上司の顔が走馬灯のように浮かびます。あの上司とはあまりウマが合わなかったなとか、その前の前の上司とは言い争いをしたことがあったなとか様々な場面が頭をよぎります・・・。「本来は本人に教えてはいけないことなんだが、直前の横浜支店時代のようなんだ。」「横浜支店で上司と何かあったんじゃないか?」杉山さんの目は同情に近い親しげな表情でした。捨てる神あれば拾う神ありといった感じです。 

しばらく考えた後、私はハッと気が付きました。なんと、将来留学してMBAを取得したいと相談したことが、このような結果になっていると確信したのです。横浜支店の山口支店長は個人的にも親しかったために、心を開いて相談を持ち掛けたつもりでいた故に、大きく裏切られた感じがしました。というかある意味人間不信に陥るようなショックを受けたと言った方が正解でした。青臭い甘えが、組織と上司の保身によって打ち砕かれたのです。そして、自分自身の愚かさを悔やみました。

ゼロサム人事評価
それから十年近く経て、自分が部長になり部下の人事評価をするようになって初めて、このカラクリが分かりました。上司は年に一回(最近は四半期ごとにやるところもあるらしいのですが)部下の人事査定を行います。具体的には、ひとりひとりにABCD等のランクを付け、昇進や昇格の根拠にします。Aが最も良く、Cは平均値、Dは最も悪いのですが、Dが付くと翌年の昇進や昇格は見送られます。部署内ではプラスマイナスゼロ(ゼロサムゲーム)にするのが原則です。つまり、部下のひとりにAを付ければ、その代わり誰かがDになります。部下全員がAにはならない仕組みなのです。部署によっては、優秀な人が集まっている部署もあれば、逆に余り優秀でない人が集まっている部署もあるでしょう。査定は、そういた部署間のバラツキを考慮することなく一律で進めていきます。言い換えれば、部内の部下の誰かを+(プラス)評価にするならば、誰かは-(マイナス)評価を負わせなければならないのです。また、良い評価の部下が突然会社を辞めたりすれば、上司の責任問題にもなります。

社畜上司に注意 
昔、80年代バブルの頃、「社畜」という言葉が流行しました。最近あまり使われなくなったこの言葉の意味を、ウィキペディアでは次のように紹介しています。「社畜(しゃちく)とは、主に日本で、勤めている会社に飼い慣らされてしまい自分の意思と良心を放棄し奴隷(家畜)と化したサラリーマン、OLの状態を揶揄したものである。「会社+家畜」から来た造語で、「会社人間」や「企業戦士」などよりも外部から馬鹿にされる意味合いを持つ。」とのこと、そのまま引用しましたが、かなりの蔑んだ言葉と言えるでしょう。しかし、低成長時代に入った日本の会社では、多くの人がこの社畜に近い状態となって働いているのが現状かも知れません。リストラが繰り返される環境で管理職になった上司の何割かは、完全な社畜状態の可能性が高いと考えた方が良いと思います。そこで、「迷える子羊」のあなたが悩んで上司に身の上を相談しても、なんら答えが返ってくるとは限りません。なぜなら上司はあなたと同じ、またはそれ以上に「迷える子羊」であることが多々あるからです。むしろ保身のためにあなたを踏み台にしたり、利用したりします。そうゆう目に合わないよう注意が必要です。

直属の上司の社畜傾向が強い人かどうかを見分ける簡単な方法があります。それは、そのまた上の上司に対してイエスマンで、部下の取り巻きもまた似たようなイエスマンで固められているかどうかを見分けるのです。社畜上司は自分より優秀な部下を抜擢したりしません。なぜならそんなことをして自分自身の立場が危うくなることを人一倍恐れているからです。他の企業や業界では通用できないことを自分自身よく分かっているので、現状の組織に蝉(せみ)の抜け殻のようにしがみついています。万が一、みなさんが不幸にもこのような社畜を生む組織や上司に奉職してしまったとしたら、悲劇です。なぜなら、部下は上司を選べないからです。次の人事異動まで耐えて待つしかありません。ですが悲観することはありません。MBAを取得するのです。このような生産性の低い組織や上司に甘んじている必要はありません。MBAは「ノーと言える自分」を創るためのものなのです。続きは次回のコラムにて。To be continued. Stay Tuned…

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