近頃、youtubeで「MBA」と検索すると、入試対策関連の映像が登場するようになりました。ようやく、MBA教育が社会的な認知度を得てきた兆しを感じます。そこで今回は、MBAを出願する上で重視すべきポイントを、多数の国内外のビジネススクールを訪問審査してきた経験を踏まえて内側からご紹介しましょう。
本当に〇〇大は研究重視のMBAなのか?
〇〇大学は研究重視MBA、△△大学は実務重視MBA、という解説を目にしますが解説者の解釈に基づく属人的な表現のため正しくない場合があります。そもそも、MBA教育を提供する大学院とは教育研究機関であるため、定義上、研究軽視のビジネススクールは「存在しません」。そして、ビジネススクールには「実務家」として活躍する人材を育成する教育課程「MBA」や、博士課程に進学して「研究者」を目指す人材を育成する教育課程「MSc」が存在します。そのため、研究者養成のMBAは定義上「存在しません」。そして、ビジネススクールは修了課題で参加者の教育目標への達成度を測定することになります。
そもそも修了課題とは何か?
詳細は以下の記事でご紹介しますが「修士論文」が必須と記載されている教育課程であれば、それは欧米社会における「MSc」に近い研究色の強い存在といえるでしょう。一方で「特定課題」が必須と記載されていれば、いわゆる実務家を対象とした実践的なMBA教育が期待されます。もし「インターンシップ」が必須と記載されていれば、実務経験が少ない志願者を多数受け入れているMBAであり、教室での学びを現場での実務経験を通じて昇華させることを目的としています。
- https://mba.nucba.ac.jp/about-mba/bschool.html#capstone
- https://mba.nucba.ac.jp/about-mba/entry-20420.html
この視点で見ていると時々、終了課題が選択制のMBAがあります。様々な事情(組織統廃合や教員間力学)が背景にあると思いますが、原則として教育課程毎に必須として設定されるべきだと考えています。
修了課題を確認することの重要性
教員も指導方針に対する考え方は様々で、入学前に個別教員の指導方針を把握することは現実的ではありません。同じ教員でも、扱うテーマによってスイッチが入る場合もあります(汗)。そこで役立つのが、ビジネススクールが教育課程ごとに設定する「修了課題」の存在です。実はこれを見れば教育方針が一目瞭然なのです。
主な修了課題
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特定課題研究
実務的考察を目的とした特定の課題に関する研究活動を行い、その実務に対する有用性の高さが評価されます。
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修士論文
学術的貢献を目的とした特定事象に関する研究活動を行い、学術的な新規性や有用性の高さが評価されます。
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インターンシップ
実務経験の少ない参加者を対象としたMBA教育においては、実務経験そのものを修了要件に設定している場合があります。
MBAを修了するためには?
どのビジネススクールでもMBAを取得するためには、以下の修了要件を満たす必要があります。履修科目は、必須科目と選択科目によって構成されています。1年制のMBAの場合、ほぼ全てが必修科目で、2年制のMBAの場合は2年次に選択科目が用意されることになります。余談ですが、選択科目が多く提供されているビジネススクールは要注意です。そもそもMBA教育は「コアカリキュラムと呼ばれる必修科目のみで構成されるべき」という考え方が欧米では浸透しているのです。国内大学では選択肢が多いほど魅力的ではないか?との考えが存在しますがそれは誤解です。本当に必要な科目を適切な時期に提供することが重要なのです、数ではなく質で勝負すべきです。
- 必修科目
- 修了課題
- 卒業単位