DX時代のプラットフォーム競争戦略-MBAのための8つの訓え-④
MBAのための8つの訓え、ひとつ『蚊帳の外』
今回は、『蚊帳(かや)の外』を説明します。むかし田舎のおばあちゃん家に遊びに行くと寝床に蚊帳が張ってあった記憶があります。寝床に張り巡らされた蚊帳の見慣れない雰囲気に、子供ながらにとてもワクワクしたものです。蚊が大量に発生するような場所では、蚊を退治したり追い払うための蚊取線香や電子蚊取り機では間に合わず、大量の蚊の空間から人を守るために隔離するわけです。この蚊帳によって隔たれた空間を作り出す発想こそ、プラットフォーム競争戦略に応用できるのです。
プラットフォーム競争戦略における要点は、ターゲットを、「蚊帳の外」になる状況に置くことで、周りと同じ便益(利便性)を得られなくすることです。映画「ソーシャルネットワーク」でFacebookの創設者マークザッカーバーグが共同創設者と米国の大学にをFacebookを普及させる方法について語る場面があります。「すでにその大学独自のSNSが普及している時、その大学を取り囲むようにFacebookを普及させ、その大学の学生がSNSで他大学の学生とコミュニケーションを取ろうとする際に、 Facebookを使わざる得ない状況を生み出す」というような趣旨を語るシーンがあります。この例を借りて説明すれば、ターゲットを、「蚊帳の外」になる状況に置くことで、周りと同じ便益(円滑にコミュニケーションを取れること)を得られなくすることが、ポイントとなります。この訓えはSNSだけでなく、隔たれたり、孤立させられることで、余分にコストを払わされる状況を作り出すことが可能な様々な場面で活用することができます。とても興味深いですね。では今週はここまで。To be continued…