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事業承継と危機対応

今、世界中のビジネス・スクールでは「非常時におけるリーダーシップ(Leadership in Crisis)」に関する研究に視線が向けられている。通常、経営学者が考察対象とするのは顧客、企業、および競合といった要素に基づく競争戦略であり、そこでは政治、経済、社会、および技術といった短期間で変化しない外部環境は所与として検討されやすい。しかしながら、非常時においては短期間のうちにこれら外部環境が変化もしくは不透明な状態に陥り、従来の意思決定の前提条件が揺らぐことになる。

すると、長期的な企業存続はすなわち「危機対応」への成否に依存しているといっても過言ではないであろう。であれば外部環境に急速な変化をもたらす、天災、戦争、不況、および疫病、といった歴史に刻まれるであろう100年に一度の非常事態(毎年この種の単語を目にするのは気のせいか...)を、幾度も乗り越えてきた長寿企業に共通するものは一体何であろうか?今回の公衆衛生上の出来事は「事業承継」という視点を持つ私達に、大きな研究課題を与えていると感じている。

参考として、非常時におけるリーダーシップを専門とするハーバード・ビジネス・スクールの研究者(Herman B. Leonard)によれば、危機的状況においてリーダーには以下のような観点が求められると報告している。

  • 緊急事態全体の動向と日常的な緊急事態を区別する
  • 危機に先立って適切な対応策を作成して実行し組織を準備する
  • 組織管理と動機付けに焦点を合わせながら限られた時間で決断する
  • 多様な関係者や所轄行政から湧き出てくる重要な案件に対処する
  • 危機対応部門と経営層との間の緊張関係を理解し効果的な連携を促す

国際比較において日本に長寿企業が多く存在すると各種紙面で報道されているが、果たして日本企業の伝統的な行動規範が、非常時におけるリーダーの危機対応を可能にしていたのであろうか?そもそも、平常時に求められるリーダーシップとは外部環境もしくは内部資源を考慮しながら競合に対する競争優位性を構築して維持する「比較競争」が基本であり、一方の非常時に求められるのは「生存競争」である。長期的な企業存続のために不可欠なこの二種類の競争にいかに対処すべきか、今回の公衆衛生の悪化に起因した混乱から私達は学ばなければならない。


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