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Steve Jobsのこと

マーケティングシリーズの最終回

このシリーズでは、4回に渡ってMBAで教えているマーケティングについてお話ししてきました。この稿がこのシリーズ最終回です。


筆者が一番尊敬しているマーケッター(変な用語ですが、マーケティングをやっている人という意味です)は、Steve Jobsです。彼は筆者と同じ年代で、PCの時代からインターネット、モバイルの時代と一緒に時代を歩んできました。筆者が生まれ変われるのであれば、Jobsになりたいと思っています。

マーケティングはこれまでの稿で、理詰めな企業活動としてお話ししてきましたが、実はマーケティングの半分しか語っていません。残りの半分は感性です。豊かな感性無くして、売れる商品は世に出すことができません。それは、理論とかマーケティングプロセス・マーケティングミックスをいくら積み上げても、それだけでは不十分ということを意味します。この感性は、MBAでは教えることができません。人間が持って生まれた物に近いのが感性で、それを教えたとたんに感性はしぼんでしまうからです。一つの方法は、感性をもった人間にマーケティングの理詰めのアプローチを教えることです。これは、なんとかなるかなということで、イノベーションをテーマにしたMBAコースが出てきつつあります。

Jobsは、この理詰めと感性を合わせ持った類い稀な人物です。この稿で、一度売れる商品とは?という話しをしました。消費者ニーズに合った商品は売れる商品と定義しました。Jobsの商品はこの定義を見事に覆しています。MACやiPodは、Jobsが「こんな商品があったら、自分は使いたい」という動機だけで作った商品です。消費者のニーズや情報なんか見えない中で、作った商品です。でも、結果的にそれが世の中に出たとき世の中の多くの人間が、「こんな商品待ってたんだよな!」と後になって、自分のニーズに気付いてヒットに火が付きました。消費者ニーズを創造しました。

理詰めのマーケティングは、絞り込みの論理です。ターゲットになる消費者をできるだけ絞り込む、不特定多数は絶対に相手しない、競合も絞り込む、それも勝てる相手。相手に明確なポジショニングを設定する。それに対してJobは何をやったのか?ターゲットは世の中の音楽を聴く人。つまりほぼ全員。競合は誰もいない。だから、ポジショニングも不要。つまり、商品(Product)の力だけを頼りに、筆者がこれまでお話ししたマーケティングプロセスを全く無視しています。ニーズを創造するマーケティングです。

Jobsにとってみたら、MBAで教えているマーケティングなんか、鼻でせせら笑っていると思います。ただし、Jobsのやったことは、天才としか言いようのない人間だからできること、つまり天才マーケティング。MBAで教えるマーケティング理論は凡人マーケティングです。筆者を含めて、我々凡人は凡人マーケティングで固く固く行けばそれでいいんです。凡人が天才マーケティングやれば会社は間違いなく失敗しますので。そんな、Jobsになれたらどんなに幸せだろう、なんていつも夢想しています。だから、筆者のマーケティングのコースの最後のケースはJobsのケースです。

孫正義社長は、Jobsがなくなった時次の言葉で追悼しています。素晴らしい人物評価だと思います。この言葉を発した孫社長も素晴らしい!

「Steve Jobsは、芸術とテクノロジーを両立させたまさに現代の天才だった。数百年後の人々は、彼とレオナルド・ダ・ヴィンチを並び称することであろう。彼の偉業は、永遠に輝き続ける。」

MBAで教えているマーケティングは万能ではありません。それを前提に試行錯誤して実ビジネスでは試行錯誤が必要です。感性も必要です。天才性も必要です。マーケティングは奥が深いですよ!


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